第4話 【秘書】

「見ない顔だな。」


「はい。九尾によって、この世界に連れてこられてしまった少年です。」

奪衣婆が、高良を横目に見ながら閻魔に高良を紹介した。

「ほう。だから、現世に戻してやってほしいと。そういうことだな。」


「…っ。その通りでございます。」


やはり、この御方は怪の心を見透かしているような人だ。感が鋭いのか、それとも本当に怪の心を読めるのか。本当に恐ろしい御方だわ。


「名は?」


「え、あ!小野高良です!!」


「と申しますだろ、馬鹿たれ。」と大蛇が小声で言い、高良はチョップをくらう。


「良い、良い。」

閻魔は愉快だと言わんばかりに微笑んだ。


そうか。言葉遣いしっかりしないと、打首にされちゃうかもしれないからな…。

頑張ろ、、。


「にしても、名が似てるな。」


「私も初めて出会ったとき、そう思いました。」


あれ、大蛇さん、言葉遣いも一人称も変わってる。すごいなぁ…。一生その言葉遣いだったらいいのに。


「おい、ガキ。なんとなくお前の考えてること分かってっからな。」


「ヒョッ、、えっと、あ、そうだ。名前が似ているというのは一体…?」


このガキ、話しそらしやがったな。


「あんたの名前は、この前まで閻魔様に仕えていた者と名が似ているんだよ。その名は、小野篁。一文字違いなのよね。」


「へぇ〜!!その人は、今どこにいるんですか?」


閻魔達は、いきなり静まり返った。

大蛇の方を見てみると、とんでもないしかめっ面をしていて鳥肌がたった。


ん?あれ、なんか僕おかしいこといったかな…?



「行方不明なんだよ。いきなり、姿を消した。どこを探してもいない。だから、今は閻魔様の秘書がいなくて、獄城はパニック状態。篁さんは、なんでもできたからな。」


「うむ。説明してくれてありがとう。小僧、現世に帰りたいんだよな?」


「はい!」

高良が勢いよく返事をすると、閻魔は微笑んだあと眉を下げた。

コロコロと変わる閻魔の表情に高良が戸惑っていると閻魔は口を開いた。

「現世に戻してやるのは、とても大変で面倒だ。しかし、現世に戻してやれるのは儂しかいない。タダで、とはいかんよなぁ。」


「…っ!!?閻魔様、まさか…、!」


少しの沈黙があったあと大蛇がそういうと、閻魔はにやりと口角を上げた。


「小僧は、篁が見つかるまで儂の秘書係になれ。異論は認めん!」


この場の、閻魔以外は同じこと考えたであろう。




まじか…、。


次回 事変書

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