第3話 【獄城】
「美人先生!!?」
そういうと、女は体から煙を出した。
「うわ!なにして……!って、狐…??」
さっきまで、きれいな女の姿をしていた者は、目尻は赤く紅を塗り、尻尾が生えた人間と狐を混ぜたような格好をしていた。
「ごめんなさいね、高良くん。イタズラのつもりだったのよ。」
彼女は、顎に手を添えそう言った。
「お前、九尾だな。イタズラにも程があるぞ。さては、お前このガキをここに連れてきて喰うつもりだっただろ。」
「すごい、なんで分かったのかしら。でも、それももう無理ね。あなた達が一緒にいる以上、手出しできないし。」
「それって、どういう…?」
「俺達は、上級妖怪だからな。」
この世界では上級妖怪、中級妖怪、下級妖怪が存在する。下級から順に強い順で表されるものだ。
大蛇や奪衣婆、そして九尾は、上級妖怪だ。
また、極と呼ばれる妖怪も存在する。
「流石に上級二人相手に勝てる気はしないわ。痛い思いしたくないし〜。」
そう言って、九尾は霧の中へと消えていった。
「さて、あんた閻魔様の所に行くわよ。」
え、閻魔ってあの閻魔のこと…!!?
「めっちゃこわい人!!?」
「ちょ、あんた!無礼な発言はよしなさい!獄城の者に聞かれてたら打首にされるわよ!?」
「えぇ!!?」
打首って、ほんとにあるんだ…。
ここで死んだら、元も子もない…。
「大蛇、あんたもついてきなさい。」
「なんで俺まで…。。」
そんなこんなで、高良、大蛇、奪衣婆は獄城へと向かった。
「ここが獄城……。」
獄城周辺は黒い霧につつまれ、数え切れないほどの鬼が獄城の見張りをしていた。
「はぁ、帰りたい……。」
「帰るために今こうしてここに来てんだろうが。」
なんでこんなことに…。
なんかめっちゃ鬼に睨まれてるし。
「ほら、立ち止まってないでさっさと行くわよ〜。」
奪衣婆は、近くの鬼に挨拶すると、獄城の周りにいた何百体もの鬼は警備をやめ、獄城内までの道を開いた。
「す、すげぇ…。」
獄城内は、とても天井が高く迷路のように沢山の道と部屋がある。
獄城外とは違って、内部は赤く彩られ沢山の妖怪が出入りしていた。
「迷子になると面倒だからちゃんとついてくんのよ。」
奪衣婆のあとに続くと、とても大きく禍々しい扉が目の前に立ちはだかった。
「奪衣婆さん、やっぱ俺いかないとだめ?このガキだけでも良くない?」
「この子に、声かけたんだから責任持って最後まで面倒みんのが、あんたの仕事よ。」
「うす…。」
そういうと、奪衣婆は真剣な眼差しで口を開けた。
「奪衣婆でございます。閻魔様、お話がありますので、少しお時間を頂いてもよろしいでしょうか。」
「入れ。」
「失礼します。」
扉がゆっくり開いたのと同時に辺りは、異様な雰囲気に包まれ空気がピリついていた。
扉の奥には、黄金の瞳に、鋭い八重歯、色とりどりの耳飾りに赤い服をまとった青年がいた。
「見ない顔だな。」
次回 秘書
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