第2話 【出会い】

「なんだ、、ここ……。」


「お前なんだその格好、だっせ。貧乏人か??よく、ここに来られたな。」


話しかけてきたのは、ヘビみたいな顔をした人だった。


「あ、あの!ここはどこですか!」


「まず、名を名乗れ、クソガキ。」


「す、すみません!高良です!ここは、どこですか!」


「えぇ?タカムラ?随分とお前の母ちゃんは度胸があるな。」


「た・か・ら・で・す!!ここは、どこですか!!?」


「あぁ、すまん。ここは閻魔街。閻魔様の支配下だな。高級街だぞ〜?ガキにはまだ早かったな。分かったら、さっさと帰れ。」


閻魔街…??なんだそれ。コスプレしてんのかな、この人。今のコスプレってこんな完成度高いんだ…。おまけに、キャラになりきってるし、、もしやプロだな!!!?


「すごいですね!!とても完成度が高い!どうやって、そのヘビみたいな舌作ってるんですか!?」


あれ?なんかすごい変な顔してる。僕、変なこと言ったかな?褒めてるんだけどな…。


「お前馬鹿か。これは、本物だぞ。食われてぇのか、ガキ。」


「食う!!?」


そ、そ、そんな強引な!!!初対面でそんな言葉言うなんて、、。


さては、こいつヤリ◯ンだな!!


あ、そんなことより、凪だ!


「あの、凪って言う子知りませんか?なんか、一緒にいたはずなんですけど…。」


「なんだ、迷子か?それなら、奪衣婆様に聞くんだな。ここを真っ直ぐ行けばいる。一緒に行くか?」


「いいんですか!!ありがとうございます!」


この人、ヤリ◯ンだけどちゃんと優しい人だな。コスプレ会場もちゃんと、凝っていてすごいなぁ。今度友達に教えてあげよ!


「あ!あの、あなたのお名前は?」


「ん?あぁ、まだ名乗っていなかったな。大蛇だ。」


「あ、大蛇のコスプレをしていたんですね!ここは、妖怪フェス的なコスプレ会場なんですか?」


「なんだ、こすぷれって。ここは、閻魔街なんだが。」


ん?まだキャラになりきってるのか?


「あのぉ、僕と話す時は普通に喋って欲しいんですけど……。」


「は?馬鹿にしてんのか。食うぞ。」


なんか、話通じないなぁ…。


「もしかしてお前、俺が人間だと思ってんのか?」


「え、人間でしょ?」


「アホか。お前は。」


大蛇は一息ついたあと、道の脇にあった用水路の水を操った。


「え!!!嘘!!!!すご!!!!え、これマジのやつ!!?なんか、おかしいと思ってたんだよ!妙に完成度が高いと思ったし、空も真っ赤だし!」


「俺は人間じゃない。妖怪だ。」


ここは、もしかしたら異世界とかそんな感じのところなのかもしれない。

だから、凪と離れ離れになったり、大蛇さんが水を操ったりできるのかも。

そういえば、神社に行く前凪が言ってたな。


『ま、まて!夕方の神社は危ないって父さん言ってたぞ。』


え、そういうこと?

都合よく、そんなことあるかなぁ…?

でも、そういうことだよな…。

水操っちゃってるもんな。

妖怪って言ってたしな…。


「おい、ガキ。着いたぞ。」


そこには、三途の川と書かれた看板と大きな川があった。さっきの風景とは変わって辺りは真っ白だった。


「あんた、前世でどんな悪い子としたらこんな服が重くなんのよ。可哀想だけど、あんたは地獄行きね〜。」


「ガキ、あれが奪衣婆様だ。」


奪衣婆とは、三途の川で天国か地獄かを衣類の重さ(現世での罪の重さ)で区別する役割をしている。


沢山の罪を犯している者は、衣類が重くなり地獄行きとなる。また、罪が少ない者は衣類が軽くなり、天国行きとなる。


「あの人が、奪衣婆さん…。」

名前の割には、とても若々しく綺麗な女性がそこには立っていた。


「あー、やっと仕分け終わったぁ…。」


「あ、あの。高良って言います。凪という子を探しているんですけど、知りませんか?」


「んー?……ってあんた生きている人間じゃない!なんでここにいるの!?」


「え、なんで分かるんですか!!?」


「だって、生気が漂っているもの。」


「なら、話が早い。僕、さっきまで神社にいたんですけど急にここに居て、一緒にいたはずの凪がどこにもいなくて。」


奪衣婆は、少し考えてから高良の方を見た。


「連れてこられた、のかもねぇ。」


「誰にですか!?」

連れて来るも何も、あの場には僕と凪と、美人先生しか…。


そういえば、美人先生もどこにもいないな。

もしかして…

「美人先生かもしれないです!僕をここに連れてきたのは!」


「「美人先生??」」


「その通りよ、高良くん。」


高良の背後から聞こえた声は、聞き覚えのある人の声だった。

いつも、保健室で聞くあの声だ。


「美人先生!!?」


次回 獄城

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