息子のベッドの下からエッ○な本を見つけたお母さんの話

魔女っ子★ゆきちゃん

息子のベッドの下からエッ○な本を見つけたお母さんの話

 私には三分以内にやらなければならないことがあった。


1 発見


 息子のベッドの敷布団のシーツを替えるべく、持ち上げたところだった。

 何気に見えた数札の本。

 別にそれだけなら、いつものことだ。なんの問題もない。 

 ただ、今回は違った。

 『こまっちんぐマツコ先生』というタイトルの漫画。

 読んだことはないんだけれど、ちょっぴりエッチなシーンが頻出するらしい、程度のことは知っていた。

 と。

 そこで、別の漫画に気がついた。

 『いけない!ナル先生』。


2 息子は中学一年生


 『いけない!ナル先生』を手に取り、ぱらぱらと開いてみた。

 案の定、ナル先生の裸のシーンがいくつか目に入った。

 やっぱり。

 さらに捜索すると、いわゆるひとつの女教師モノのエロースな写真やなんかがあふれる雑誌を発見した。専門的な学術用語では『エロ本』というらしい。

 息子は中学一年生だ。そろそろ異性の裸などにも興味が出てくるお年頃だ。

 そういうことに、理解ある母親でいよう。ずっとそう考えていた。

 ヒステリックに否定したり、勝手に全部捨ててしまったり、息子を問い詰めたりしないようにと思っていた。

 けれども、実際にの当たりにすると、激しく動揺してしまっている自分がいた。

 ふと吾に帰り、時計を見ると。


3 タイムリミット3分


 もうこんな時間だ。普段の息子なら、もうとっくに家に帰っている時間だ。

 1秒後には、帰ってくるかもしれないし、夕食の準備もしないといけない。

 動揺している暇はない。3分以内にカタを付ける!

 そう決心した。


4 先生に恋してるのかな?


 マツコ先生にナル先生に女教師モノのエロ本。

 息子は女の先生に、恋をしてるのかもしれない。

 そういえば息子の担任は、まだ20代の可愛らしい方だった。

 ひょっとしたら、その先生のことを思い浮かべつつ、この漫画やエロ本の写真で、オ、オナ……、自家発電をしたりしてるのかもしれない。

 とっさに、ゴミ箱に顔を近付け臭いを嗅いでみたが、そういう臭いはしなかった。

 少し安堵した。


5 性教育は大事だよね!


 そういえば以前、ネットか何かで、授業参観のときに性教育を取り上げてる学校の話を見たことがある。

 授業では、男性器を形どったモノにコンドームを付けるという内容で、授業終了時に、男子生徒にはコンドームが配られ、先生が、

「お母さんは、家でお子さんにコンドームの着け方を教えてあげて下さい」

的なことを言って、締め括っていたような。

 あれ? この授業、女子はどうしていたのかな? 男女別々の授業だった? そこら辺りはよく覚えていない。


6 母の手で息子のムスコにコンドームを


 それにしても、

「お母さんは、家でお子さんにコンドームの着け方を教えてあげて下さい」

って、無茶ぶりが過ぎないかしら?

 喩えるなら、

『全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れ』

というお題で小説を書け! 級の無理難題よ★


 そもそも、もそもそ、息子のムスコにコンドームを着けるためには、息子のムスコがおっきしてないとダメじゃない!

 どうすんのよ! ナル先生!

 息子のムスコが大きくなるまでマツコ先生しろっての?

 そりゃ、相手が夫だったら、私が手や口を使っておっきさせてあげるのもやぶさかでないけれども。


7 お母さん、ボクもう我慢出来ないよ!


 仮に息子のムスコを手でおっきさせるとするわね?

 で、コンドームの装着の仕方を説明しながら着けてあげる。

 まあ、ここまでなら、良いわ。立派な性教育だもの!

 問題はここからよ?

 おっきした息子のムスコはどうするの?

 そのまま放置プレイは、中学生には酷じゃない?

「お母さん、部屋から出て行くから、自分で処理なさい?」

 というのも、かわいそうな気がするし。

 それに夫は、

「一度こうなったら、発射するまで元には戻らない」

なんて言ってたわね🚀 それは事実ではないような気もするけれど。

 仮に、仮によ! おっきした息子のムスコを手でしてあげるとして、息子はそれで満足出来るのかしら?

「お母さん、ボクもう我慢出来ないよ!」

なんて、押し倒された日には私の子宮がキュンと疼いて……って、あらやだ、何言ってるのかしら、私(恥)


8 息子、帰宅する


 息子のムスコをどうこうするのを想像(むしろ妄想)してたら、むらむらしてきちゃったわ♡

 夫は、夜になるまで戻らないし、寝室で自分で……。

 と、その時、玄関のドアが開く音がして、続いて、

「ただいまーっ!」

という息子の元気な声が聞こえた。


9 私には三秒以内にやらなければならないことがあった。


 その声で吾に帰り、脳内は『女』から『母』へと切り替わる。


 私には三秒以内にやらなければならないことがあった。


 証拠隠滅、何事もなかったことを装うのだ。

 性教育? そんなの今日でなくても構わないじゃない!

 今、性教育なんてしようとしたら、私が息子のことを襲ってしまいかねない。

 何それ! どこのエロマンガ島の出来事なのよ!


 先程手に取った本などを、ほぼ元の位置に戻す。

 そして部屋を出て一階に降り、おかえりなさいと声を掛けつつ、手を洗い、おやつの用意をする。

 完璧だわ! ついさっきまで、私があんな想像(というか妄想)してたなんて、つゆほども感じないはずよ。


10 その夜、夫婦はハッスルした!


 その夜の夫婦の営みは、最近にないハッスルぶりだった☆

 女教師と生徒の父親という設定だった。


11 影もカタチもなかった


 3日後、敷布団のシーツを替えるべく、息子の部屋へ。

 今日こそは、息子に性教育をしようと決心していた。

 ネットで色々調べたし、考えつくハプニングの対処法も想定してきた。

「いざっ!」

 敷布団を、持ち上げるもエロースな本などは見当たらなかった。影もカタチもなかった。

 おそらく、配置がずれてて、私に知られたのを察して、隠し場所を変更したのであろう。

 流石に、部屋中を探すつもりはなかった。

 次からは、見つからないように気をつけて☆

 私は心の中で、息子に声を掛けた。


 おしまい


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