20240305火 うちは質素
「うちって、質素だよね」
何気なく、息子がサラッと言い放った。
とりあえず何にしろ贅沢でもないし華美でもないので「そうだね」と答え、やはり真意が気になるのでやんわりと突き詰めていくと、1番は飾り物がないことらしい。
まあ確かに。
花もなければ絵画もないし、間接照明などのムード重視のものもない。ましてやこけしや鮭をくわえた熊の定位置であるサイドボードとかもないし。
2番目は浄水器とか昨今便利とされているものがない、と言う。
「台所の蛇口には浄水器が付いてるし、ラベルレスの500㎖のいろはすをケースで買ってあるのに、浄水器って必要?」と具体的に対処方法を提示すると、「まあ、それはそうだけど」と口を濁す。
結局は、ずっと同じもの使っていて、変わり映えがしないと言いたかったらしい。
基本的に、使えるのにわざわざ捨ててまで新しい物を揃えようという考えはないので、それが質素的であると言うならそうなのかも知れない。
まあ、確実に言える事は、お洒落ではないよな、残念だけど。
っていうか、実家暮らしで、「うちって、質素だよね」と言ってしまう息子が不憫で仕方ないし、ちょっとムカッとしたので、物のついでに息子と話してみた。
私:この家で万が一私が一人暮らしすることになったら、家具とかリメイクして北欧風にするのもいいよね。
息子:いいんじゃない。
私:って言うか、ひとり暮らししないの?
息子:そのうちするけど、今の父さんの状態じゃ無理でしょ。
私:どういう風に無理なの?
息子:いつ倒れるか分からないし、母さんの負担が増えるだけでしょ。
私:いつ倒れるか分からないから、とりあえず倒れていない今が家を出るチャンスなんじゃないの? 倒れてからじゃもっと出にくくなると思うよ。
息子:でもさ、この間みたく母さんが具合悪くなったときはどうするの?
私:そういう時は二人で協力してやっていかなきゃダメなんだと思う。
息子:出来るの?
私:やらせる。
息子:まあ、俺も一人暮らしはしたいと思ってるから、めどが付いたら部屋探すよ。
私:そうだね。
息子の一人暮らしがほぼ確定したようなしていないような。
っていうか、夫が倒れる前提で話し合っているのが自然過ぎたし、なんだか3人で依存しあってるみたいで嫌だな。
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