20240228水 ボタン
今日の業務は忙しい。
けれど、見通しが立っているので気持ちは比較的楽、なはずなのに、仕事中にニットカーディガンのボタンが取れてしまいガビーンとなった。
これが不可抗力だったならば、がっちり縫い付けられていて取れるはずもないボタンが取れてしまったのなら、それは不吉な予感しかない。それどころか戦慄が走るかもしれない。
けれど、違うのだ。
取れたボタンは、取れそうだなと分かっていたのに対策を怠った、いわば人為的なミス、すなわちズボラな自分が露呈されてしまった格好となる。
前見頃の合わせに5個あるうちの、上から3番目のボタンをボタン穴に通した時に「ちょっとゆるいな」と違和感に気づいたのが昨年末だった。たぶん。
ただその時点では急を要するほどではないし、もしかしたらこれが普通なのかもしれないと、根拠のない前提まで生まれた。
数日たって再び着た時には前回の違和感をすっかり忘れていて、「ゆるっ」とした触感で「ああ、そうだった」と思い出した。
それからは週に1回以上着るたびに、ゆるっと感が拡張し「ああ、直さなきゃ」と罪悪感にかられ始めた。
そういう経緯を経ての今日なのである。
「とうとう取れたか」
ぐらぐらしていた乳歯が抜けた時のような達成感もほんの少し感じつつ、デスクの下に潜って転がったボタンを取りながら、「何も今日じゃなくていいのに」と理不尽にボタンに八つ当たりした。
業務は滞りなく終えることが出来たが、なんかすっきりしない、まぬけな1日だった。
漢字で書けば間抜け。そのものではないか。
私らしいと言えば私らしいんだけども。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます