20240204 お天気お姉さんと買い出し

 寒い。

 足元からじんじんと寒さが伝わってくる。

 ニュースを見れば「明日の大雪に警戒してください」と脅してくるニュースばかり。

 そんな中、お天気お姉さんがいつになくメイクバッチリ、衣装バッチリで微笑ましい。

 多くの国民が大雪に興味を示し、お天気ニュースへの関心が高まっている今日という日に、そこを踏まえた上での計算されたメイクと衣装に違いない。

 お洒落をしたお姉さんは誰が見ても可愛い。初見の人は「局アナ? それともフリー?」と気になるだろう。そこから噂が噂を呼び、他の番組制作陣にも見つかり、露出が増え、人気者になっていく。

 そんな、もくろみ、視聴者はお見通しですよ。ふふっ。

 自分を信じて貫き通し、果ては子供たちの憧れの存在となることを願ってやまない。

 信じる者は救われる。

 私もお姉さんの天気予報を信じて、食材の買い出しに行ってきます。


 *


「買い出しに行ってくるね」

「行ってらっしゃい」

 いとも簡単に寝起きの夫に見送られ、1人キコキコ自転車を漕ぎながらスーパーに向かった。

 開店直後の店内はすでに混雑していて、ワタワタ、バタバタした雰囲気に押され、購買意欲に火がつく。

 常備野菜や調味料に肉や魚、その他諸々選んだら、レジかご山盛り2つ分になりそうな勢い。お菓子とかアイスも買いたいけど、自転車に積み切れるかどうかギリギリの物量。

 こんな時くらい、私から「車で行ける?」とか、夫にお願いすればいいのだけど、面倒がられたり、断られた経験があまりにも多くて、もはやトラウマ。

 嫌な気持ちになるくらいなら1人で来た方がまし、と思ってしまう。

 でもさ、それでアイスとかを諦めなきゃならないなんて、私の分が悪すぎる。

 そんなこんなで、やっぱりお菓子もアイスも諦め、大雪が来ても数日間生きていける食材を買い込み帰宅した。

「なんかになるものある?」

 買ってきたものを冷蔵庫に仕舞ったり、小分けして冷凍したりして、それからゆっくりしようと思っていた。そんな時に夫が言う。

 ピカイチのタイミングの悪さと身勝手な思考に、精神的ショックを感じながらも、冷静を装い「おつまみは買ってきてない」と返す。

「それ終わってからでいいから、なんかお願いします」

 夫なりに考えたであろう言葉に、泣けてくる気持ちをぐっとこらえて「わかりました」と返事した。

 わかりましたと言ってしまう私はどうかしてる。

 言いたいことは山ほどあるけど、言えば喧嘩になるだけ。

 体力と時間を喧嘩に使うのは無駄でしかない。

 だから、ご飯をちゃんと作って、自分に非がないように行動して、正々堂々と自分の時間を楽しむ。

 今はそれが精いっぱい。

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