20240125 都会の洗礼とぽちっ

 在宅勤務、ありがたや。


 ライブの余韻に浸りながら、暴走する食欲に煽られ爆食する。

 一人で行動するのが好きな割に、あらゆるトラブルを防ぐために慎重に行動したり、万が一トラブルに遭遇した場合には、すべて一人で対処しなければならないという緊張感が常にあって、ひどく疲れる。

 で、その疲れというストレスの矛先が食欲になり、果ては暴走してしまう。

 なんだか、仕事しながらずっと食べてる気がする。

 食べ物つながりで、昨日の水道橋駅近くのお蕎麦屋さんでのこと。

 立ち食いコーナーも座席コーナーも、どちらも満席の店内で、一人の女性客が蕎麦の乗ったお盆を持ちながら、うろうろしていた。

 ちょうど食べ終わった私は、席を立ち、身支度をしながら、少し声を張り上げて「ここ空きますよ」と声をかけた。

 女性は私の声に気づきこちらにやってきた。そして、私を押しのけるようにして無言で席に座った。

 は? どういうこと? 都会の洗礼? って思ったけど、何も返すことが出来ず、ただスルーした。私にはビリーが待っていたから。

 しかし、今日になって思い出してみたら、ふつふつと無性に腹が立つではないか。

 見た目は20代後半か30代前半くらいで、黒っぽいダウンジャケットを着ていた女性。

 急いでいたんだろうし、お腹も空いていて、蕎麦ものびてしまうのはわかるけども、私だって声を張り上げるのにどんだけの勇気を振り絞ってると思ってんのよ。まったく。あの一言で脇汗だってかくんだから。

 みんなで仲良くなんて野暮なことは言わない、けど、押しのけるのはちょっとどうかと思うよ。喧嘩売ってる? 上等なんですけど。

 だけど、私もバカだったよね。声なんてかけなければよかった。自分が食べ終わったらさっさと立ち去ればいいだけのこと。

 そのあと誰が座ろうが関係ないのよ、私には。

 ただね、確実に座らせてあげたかった。それだけなんだけど。

 お節介が過ぎたんだろうな、きっと。


 今日一日を無事に終わらせたいので、小さなことはもう気にしない。

 サクッと夕飯を食べて、キッチンリセットして、お風呂に入って、布団に足を突っ込みながらパソコンをいじる。

 ようやく、牧野富太郎さんのトートバックをぽちった。

 毎日毎日一度は眺めて、やっぱりずっと欲しかった。

 で、ビリー・ジョエルのライブが終わったら買おうと決めていた。

 嬉しいことがいっぺんに来たら勿体ないから、分散させて、日毎嬉しいことで埋め尽くしたいと思ってしまう。

 ザ・貧乏性。

 ぽちった瞬間って、欲しいものが確実に手に入る喜びと、カード決済の緊張が入り混じる。

 幸せホルモンが一気に上昇したと思ったらすぐに急降下して、また持ち直す。みたいな。

 届くの楽しみ。


 

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