果ての世界に花は咲く

瀬渡

プロローグ

星の怒り

 いつからか、私達は同じ種で憎み合う様になったのか。

 宗教、価値観、欲望といった、外的要因のため?

 それとも、元から「そうするように仕向けられていた」のが、私たちなのだろうか?

 ・・・判らない。

 少なくても、今の人間はそれらが混ざり、煮詰まり続けたものなのかもしれない・・・


 第三次世界大戦から端を発した、1世紀近くの戦い。

 戦場は人からモノに主力が移り、それまで森や街だった生命の温もりがあった大地は、無差別に蹂躙されていった。

 枯れ果てた大地に目を向ける事をしなかった人間は、留まる事が無かった。

 より自分たちのためだけに、何もかもと他から奪い、壊し続けた。

 それでも満足しなかった者は、同胞や仲間の自由も奪っていく。

「この世の地獄」という表現すら生易しいと思える凄惨な状況に終止符が打たれたのは、この星の怒りだったのかもしれない。

 突如、これまでに経験のしたことがないような荒れ狂う電磁波の嵐の発生。

 これにより、あらゆる機器が機能を停止した。

 戦いも、生命を繋げるものも。

 あらゆるものが機器と密接になり過ぎた結果、多くの何もかもを失った。

 辛うじて電磁波の対策をなされた施設に逃げ込んだもののみが生き残り、それ以外は機械と無関係だったもの以外、この時代で生き延びていけるものは存在しなかった。


「星の怒り」と呼ばれる異常な電磁波の嵐は、3年間続いた。

 その後は、徐々にその勢力を弱めていった。

 まるで、星から「この地に居て相応しいかの最後のチャンス」と言っている様に・・・


 しかし、それでも人々は安寧の日々を送ることは出来なかった。

 3年間の環境で、電磁波対策の施されていた施設は徐々にその機能を停止していった。

 想定以上の期間の電磁波に耐えることが出来なくなったためだ。

 施設の停止は、その中にある生体機能も停止する。

 機器に依存しすぎた結果である。

 そして、人間は再度土地を開拓することになった。

 数世紀前に時代が遡った状況から、明日を生きるために。

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