第23話 エピローグかつプロローグ

 ウォン・タァオフウァは幸せであった。あの日、自分自身に会ってから、タオは必死で、山を降りた。指定された住所は遠く、街中に着く頃には研究者のタオの体は限界だった。


「大丈夫ですか?」


 そうタオに声をかけてきた人がいた。その人は何かと世話を焼いてくれて、水を飲ませてくれた。


 名前を綾羅木春人と言った。


 春人も、春人の家族もみな優しかった。春人の家族は行くあてのないタオを保護してくれて、家族のように愛してくれた。そして、春人とタオは愛し合った。



 タオはやがて大学に認められ、量子力学の研究員となった。そして、量子の分解、移動を成功させた。綾羅木・タァオフウァはその功績を国に認められ、表彰をされることとなった。その隣には春人の姿があった。


 その際にタオは不思議な声を聞いた。


「量子の移動を成功させただと?」


 タオは声の方を振り返った。そこには金髪の美しい人が宙に浮いていた。


「…天使?」


 タオは言った。その美しい人は天使のような笑顔を見せた。

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