第3話 スキル鑑定の儀

 あの日から、時々魔獣の侵入も少しあれど、2年間平和に過ぎ今日はスキル鑑定の儀の日だ。


 「ルリ、司祭さんに迷惑をかけないようにな。」

 「うん。わかってるよ。」 

 

 このところ、父さんが口酸っぱく言ってくる。正直、耳タコだ。


 「お父さんも、一緒に部屋に来るのですか?」

 「いや、スキルを知るのは、基本所有者のみだ。王立学園に行くときは、教師が、    

 冒険者になるときは、そのギルドの職員または、ギルド総帥がスキルを知る。」

 

(ギルド?なんだそれは?)


 「お父さん、ギルドってなに?」

 「あぁ、うちは騎士の出だからギルドに行ったことがないんだったな。ギルドは冒険者たちが所属する団体だ。冒険者は、犯罪防止のためにスキルをギルドに伝える義務があるんだ。」

 

 父さんの説明を聞いていると道の正面に城壁が見えてくる。


 「あれが、われらが主、ヴィットリオ=エヴァリスト辺境伯様が住んでいるサルディーニャの町だ。」


(ふむ、時空系魔法ー《アボスベット・ニヒル》よりは劣るが、反魔法がかけられているな。あれを破れるのは神雷以上の攻撃か?を使えば一発だがこの未熟な体では手加減ができないかもしれん。)  


そんな考え事をしていると、馬に槍を向ける兵士がいた。


 「止まれ!何用だ。」

 「俺は、辺境伯騎士団第2中隊長シスト・イルだ。今日は娘のスキル鑑定のために町にやってきた。」


その後ろからナナがやって来る。

 

「僕は、辺境伯騎士団第2中隊副隊長ソテル・ミラだよ。あとは右に同じかな。」

 「すみません。エマヌエーレ村の騎士隊長様たちですか。どうぞお入り下さい」


門番たちは、父さんとナナのお父さんの名を聞くと二つ返事で門を開けた。


 「驚いたか、ルリ。父さんたちは、騎士団の中では、名が通ってるほうだからな。」

 「パパたちって、団長さんだったの?」

 「そうだぞ、ナナちゃん。これでも俺たちは、ネームドだからな。」

 「ねーむど?」

 「そうだよ、ナナ。僕が《聖域使い》、シストが《四聖》だよ。僕は《聖域》のスキルから、シストは、《魔法剣》の火・水・風・土に聖属性を混ぜた攻撃を行うところからきてるんだ。」

 「だから、ルリもナナちゃんもネームドになれるようにがんばれよ。俺みたいスキルが一つでもネームドになれるんだからな。」

 「普通スキルは複数あるの?」

 「そうだぞルリ。俺みたいに一つしかないのは珍しいかな。」

 

(ほう、良いことを聞いたぞ。悪目立ちしても困るからな。)


 「おっと、ルリ、ナナちゃん。俺たちはここまでだ。」

 「あとは司祭さんに迷惑をかけないようにね。」

 「シスト、ソテル、久しぶりですね。元気にしてましたか?」

 「おう、ゼフィリノも元気そうだな。」

 「ナナ、ルリちゃん、この人はペトロ協会の司祭ゼフィリノだよ。僕たちは幼馴染でね。この町でそだったんだよ。」

 「最近は騎士団お預かりの治癒術師でもあるからな。」

 「ええ、確かに私のスキルは蘇生リザレクションですからね。死んで三日以内なら、蘇生できますしね。」


(何、かつては蘇生魔法など教皇か聖女にしか使えなかったのだぞ!それをただの一司祭が使うのか。これが教皇などはどのような奇跡を起こすのか楽しみだな。)

 

 「さて、そろそろ、鑑定の間に行きましょうか」


俺たちは、ゼフィリノに連れられてスキル鑑定の間に行く。

 

 「じゃあ、この10の魔石に触れて、その属性に適性があれば、そのスキルの名前と使い方のイメージが浮かんでくるよ。ちなみに、スキルは言わなくていいからね。じゃあ、終わったら部屋から出てきてね。」


部屋に一人残される。少し、思案してから魔石に向かう。


(まあ、スキルは、恐らく持っていないだろう。)


魔石は火・水・風・土・光・闇・空・氷・雷・回復の種類がある。


 「スキルとやらは無いということで決まりだな。しかし、魔力を込めれば魔石は、光る。スキルとは、一体?」


いくら考えてもわからないものはわからない。思考を断ち切ろうとしたその時、


 「ルリ〜、おかえり‼︎」


と、ナナが突っ込んできた。予期せぬ攻撃だったので反応出来ず吹き飛ばされてしまった。


 「あぁ、大丈夫、ルリ?」

 「大丈夫だよ〜」

 「本当に?頭痛くない?」

 

うぅ、この体は痛みに弱いので、涙が出てきてしまう...


 「あぁ、そうだ‼ルリ、鑑定の結果はどうだった?」

 「ナナ、それは、言っちゃだm...」

 「私はね、光輝の矢、聖域、バハムートをさずかったんだよ!すごいでしょ、すごいでしょ。」


ナナが興奮してまくし立てる。

 「すごいのかはわからないけど...。」


 え?なんていった?

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