第4話 NP王宝刃(エヌピーオウホウジン)

 葛西は三途の川から目を覚ますと、自分に多い被さっていたバッタ星人の山が無くなっていた。辺りを見渡すと、他のタイナイザーが戦っていた。葛西は他のタイナイザーが助けてくれたのだろうと思った。

 そして、葛西の近くの瓦礫の裏に輝く何かがあった。葛西は起き上がり、輝く何かを確かようと瓦礫の裏に行ってみた。

 そこには身の丈ほどもある大きな大きな大剣が突き刺さっていた。

 葛西はこの黄金に輝く大剣に見覚えがあった。三途の川で娘麻美からもらったキーホルダーの剣に見た目が一緒であった。

「麻美ありがとうな」

 と言いながら、その大剣に触れた。

 すると、葛西は、すぐさまタイナイザーNPに変身した。

 タイナイザーNPは大剣を引き抜くと、この大剣を「NP王宝刃」と名付けた。

 NP王宝刃を手にしたタイナイザーNPは、力がみなぎってくるのを感じた。タイナイザーNPは娘の麻美に力をもらっているかのように思えて嬉しかった。

 

 タイナイザーNPは試しにNP王宝刃を振り回してみた。


(これなら、いくらでもバッタ星人を倒せる)


 そう思ったタイナイザーNPは、バッタ星人の大群に飛び込んだ。

 タイナイザーナックルが、自分のようにバッタ星人の大群に押し潰されそうになっているのを助けようとバッタ星人をバッタバッタと吹っ飛ばした。

 すべてのバッタ星人の大群を吹き飛ばすと、タイナイザーNPはタイナイザーナックルを助けて安全な場所へ運んだ。タイナイザーナックルとは、何度か話した事のある仲である。


「すまないタイナイザーNP、まだ生きていたんだな」


 タイナイザーナックルが礼を言うと、タイナイザーNPは頷いた。


「三途の川まで行ったよ」


「ははっ、そうか」


 タイナイザーナックルはいきなりのタイナイザーNPの冗談に驚いたが、すぐさま笑い返した。


 そして、タイナイザーNPは急いでバッタ星人の所へ行こうとタイナイザーナックルに背を向けた。


「その黄金に輝く大剣はどうしたんだ?」


 今までは無かったはずの黄金に輝く大剣をタイナイザーNPが背負っていた為に、タイナイザーナックルは問いかけた。


「娘からもらった大事な大事な宝物さ」


(タイナイザーNPってこんな冗談言う奴だったか?)


 そう思いながら、タイナイザーナックルは


「そうか、頑張れよ」


 とだけ返した。

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