第5話 バッタなだけに

 タイナイザーNPはタイナイザーナックルと別れると、バッタ星人の大群に飛び込んだ。

 タイナイザーNPはバッタ星人をバッタバッタと倒した。バッタバッタとバッタ星人を倒していった。 

 麻美からもらった格好良く黄金に輝くNP王宝刃で、バッタバッタ倒していった。


 三途の川で家族と再開を果たした葛西は、バッタ星人を倒しながら、家族の懐かしい思い出やタイナイザーNPの思い出が蘇ってきた。

 握りっぺが攻撃のタイナイザーNPが嫌で、妻に人気のタイナイザービームスと嘘をついた時もあった。

 違和感を感じた妻が、政府に問い合わせてみると、夫葛西晃がタイナイザーNPだということが分かった。それで気付いても、気付かないふりをしくれた時もあった。ただ毎日、夕食に焼き芋が出たので嘘がバレたのだと分かった。

 葛西晃は妻利子に聞いた。

 「攻撃が握りっぺってダサいよね?」

 利子は一瞬、驚いた顔をしたが、すぐに首を横に振った。

「攻撃がオナラでも人類を命懸けで守っているんだから格好良いよ」 

 その言葉に涙が溢れた葛西は、涙を隠す為に手で顔を覆った。

「これからは、オナラいっぱい出るように焼き芋たくさん買ってくるから頑張ってね」

 それを聞いて葛西の目から更に涙が流れた。

「パパなんで泣いてるの?」 

 3歳の娘の麻美が聞いてきた。

「パパは焼き芋が大好きだから焼き芋食べると涙が出るほど嬉しいんだよ」

 妻愛子が笑いながら言った。それを聞いた葛西も笑いながら涙を手で拭い、頷きながら焼き芋を頬ばった。

 

 それから、一ヶ月後、利子と麻美がバッタ星人に殺された。法事が終わっても絶望で立ち直れかった葛西は、政府に頼んでタイナイザーNPを休んだ。

 

 葛西は家に引きこもり、焼き芋を食べ始めた。葛西にとって、焼き芋は家族の思い出がたくさん込められているからである。

 利子と麻美の優しさを思い出す為に焼き芋を口いっぱいに頬ばった。焼き芋を食い過ぎて巨漢になっていった。それでも、利子と麻美の思い出の詰まった焼き芋を口いっぱいに頬ばった。体重が120kgになっても頬ばった。体重が130kgになっても頬ばった。体重が140kgが超えてからは体重計を見るのをやめた。ただひたすら口いっぱいに、焼き芋を頬ばって頬ばって頬ばった。

 そんな焼き芋を頬ばった思い出とともにバッタバッタとバッタ星人を倒していった。バッタバッタとバッタ星人を倒していった。妻と子の復讐を誓ってバッタバッタと『バッタ星人を一匹残らず倒す事』を誓った。その誓いを忘れて死のうした自分が情けなくて、さらにギアを上げてバッタバッタと倒していった。バッタバッタとバッタ星人を倒しまくって、再び妻と子の復讐を心に誓った。

 心のより所を無くた葛西は、酒に頼り出した時もあった。酒を飲むと、孤独という地獄から解放されたから酒を飲んだ。酒の飲み過ぎでアルコール中毒になりかけた。そんな時にとあるニュースを見た。 

 適合率60%のタイナイザーニンジャが小学校に現れたバッタ星人の大群から小学生達を守る為に命を落としたというニュースである。そんなニュースを見て自分が情けなくなって、酒に頼るのをやめた。

 その代わり、利子が毎日夕飯で出してくれた焼き芋を毎日食べた。バッタ星人をバッタバッタ倒せるように、毎日、焼き芋を頬ばった。バッタ星人をバッタバッタ倒せるように焼き芋を頬ばった。利子と麻美が隣に居る気がして毎日いっぱい焼き芋を食べた。いや、焼き芋を頬ばった。体重が150kgになった頃、憎きバッタ星人を倒す為に引きこもりやめた。そして、葛西はタイナイザーNPに復帰した。


 そんな思い出とともに、バッタ星人をバッタバッタ倒していった。麻美のくれたNP王宝刃を振り回すと、麻美が応援してくれる気がしてバッタバッタバッタとバッタ星人を倒していった。ドタバッタ会議中のオバッタリアンの集団がバッタ星人に殺されかけてたので、バッタ星人をバッタバッタ倒してオバッタリアンの集団を救った。

 握りっぺで敵を倒してない自分に喜びと心地よさと自信に満ち溢れてタイナイザーNPはバッタ星人をバッタバッタと倒していく。麻美に感謝してバッタバッタと倒していく。

 今なら胸を張って、「俺がタイナイザーNPだ」と家族に言えると思いながらバッタバッタとバッタ星人を倒していく。バッタバッタと倒してる最中にバッタ星人たちにいじめられてるバッタ星人を見つけてタイナイザーNPはそのバッタ星人を庇ったら、庇ったバッタ星人が後ろからタイナイザーNPに不意に攻撃してきたのでイジメっ子バッタ星人とイジメられっ子バッタ星人もろともバッタバッタ倒していく。

 タイナイザーNPの強さに惚れこんでタイナイザーNPをバッタ星人の幹部に仲間にならないかと誘われ事もバッタいや、あった。妻と子の仇の仲間なんて論外だったから、その場でバッタリいや、バッサリ、バッタ星人の幹部をバッタバッタ倒した。

 いろんな思い出とともにタイナイザーNPはバッタ星人をバッタバッタと倒していく。千いや万単位のバッタ星人をバッタバッタと倒していくバッタナイザーNPいや、タイナイザーNP。とにかくバッタバッタとバッタ星人を倒していった。バッタなだけに。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る