第11話

街の中には沢山の屋台が出ており、とても旨そうな薫りが彼方こちらからしてくる。

「ねえ父さん腹減った!何か食ってから行こうよ~」

「そうだな~ちょっと早いが昼にしてから一気に初級クリアすっか?」

「まあ今日は色々してたからしょうがないわね!」

「どこにする?」と話していると屋台の店主達に声を掛けられた。

「おう!そこのべっぴんさんうちのオークの香草焼きはどうだい?」

「何言ってんだいそこの坊やうちのボアの照り焼きの方が美味しいよ!食べてみてよ」

「じゃあそれを四つずつくれ」

「毎度」「ありがとね」

「どっちも旨いよおっちゃん、おばちゃん」「ガウガウ~」

「ありがとね~また来てね坊や」

「坊主またこっちにも来てくれよな!」

「またね~」

昼食を食べ終えたアレン達は南門を通り、ダンジョンポータルのある建物にあるギルド出張所まで来ていた。

「こちらギルド出張所です!先ずはギルドカードの提示をお願いします」

各々ギルドカード差し出し、それを職員が確認する。「皆さん登録したてなのですね!パーティはどうしますか?」

「ああそう言えばそうか!どうせ一緒に旅しながらになるしなパーティー登録を頼む!」

「かしこまりましたではパーティー名は如何致しましょう?」

「ファミリア」にしましょう!」

「何だもう決めてたのか?」

「ええ!パーティー組むつもりだったから昨日から考えてたのよギルドでやっとけば良かったわね」

「ではパーティー名ファミリアで登録しておきますね!・・・はい登録完了しましたので、先ずは初級から頑張ってくださいね!」

「これがポータルか?」

三人の目の前に幾何学模様の魔方陣が3つ並んであり、その場所にそれぞれギルド職員が立っており案内をしている様子であった。

「早く行こうよ~」と二人の腕を引っ張るロイド。

「分かった分かった」「ちょっとは落ち着きなさい!」

ポータルから移動すると先ずは広いフロアに出た一行そして、そのまま真っ直ぐ通路進んでいるとスライムやゴブリンなどの魔物が襲いかかってくるがロイドとレオンによって薙ぎ倒されていく。「ダンジョン楽しいね!」とウキウキのロイド。

「ちょっと待ちなさい!もうドロップアイテム拾わないと駄目でしょうが」「こりぁ~俺たちちょっとの間ドロップ品回収係になりそうだな~」と息子と子竜の無双の結果である、あちこちに散乱したアイテムや魔石を拾いながらぼやく両親。

沢山の部屋や小部屋では様々なパーティーや冒険者が戦闘している様子が見て取れた。

そして五階層のボス部屋の前に到着した。 

三人の前に巨大な扉が鎮座していた。

「お邪魔しま~すってい!」とノック(扉をグーパンでぶっ壊す)してから中に入るロイド。

「お邪魔しますって人ん家じゃ無いんだから、しかも扉壊してるし・・」と呆れるニーナ。

中は1層の大きな部屋と同じくらいの広さがありゴブリンを大きくしたホブゴブリンといういう魔物が30体程のゴブリンを引き連れこちらを待ち構えていた。

「よぉ~し殺っちゃうぞ~」と意気揚々と突撃するロイド。

「それ~ライトニング!」と前方に向けて初級雷撃魔法を放つ。

ホブゴブリンが指示を出しゴブリン達を突撃させるが直後、轟音ともに突撃中のゴブリン達の中央に雷撃が落ち悲鳴が響く。

手下が全滅し、怒り狂ったホブゴブリンは一気に距離を詰めようとするが、そこにロイドの飛び蹴りが命中し風穴を開けそのままバタりと前に倒れると泡となり消えゴブリン達はドロップ品に換わる。

その後道中は剣を装備したゴブリンソルジャー、初級魔法を使うゴブリンメイジ、弓を使うゴブリンアーチャー、ヒールを使うゴブリンプリーストが出現し、10階層は道中と同じ様な編成にホブゴブリンが二体というボスで「選手交代だ」と言いロイドに代りこれをアレンが瞬殺し、10階層以降の道中はホブゴブリンの上位種のホブゴブリンエリートが出現し、一気に出会う魔物だけ倒しつつ駆け抜け、15階層のボスはホブゴブリンエリートが30体と大盾と大振りの剣を持つホブゴブリンジェネラルが1体であった。

「よし!ロイド、父さんと武術のみで何体倒せるか勝負だ」「オッケー負けないよ!」と言いつつ二人は走り出した。

二人包囲せんと動きだすホブゴブリンエリート達、それを武術で迎え撃つ二人。

「ちっ半々に分かれたか!ふん!」と蹴り技で何体も纏めて倒し残った個体も顔を潰し一撃で倒す

ロイドも負けじと飛び蹴りで何体も風穴を開け、顔を衝撃波で潰し倒して行く。

そしてそのまま二人はホブゴブリンジェネラルに向かって両サイドから距離を詰め、ほぼ同時に頭を衝撃波で攻撃した。

もろに攻撃を受けたホブゴブリンジェネラルはドシンと音立てて倒れ、魔石に換わる。

「母さんどうだった?」

「う~んほぼ同時に攻撃が決まったから引き分けね!」

「ちぇー引き分けかー残念( ̄з ̄)」

「なかなかやるじゃないかロイド!」

「そう?へへ!父さんありがとう」と息子を褒めながら頭を撫でるアレンそして、照れるロイド。

「ハイハイ次に行くわよ」パンパンと手を叩いて先を促すニーナ。

15階層以降は豚の頭を持つ醜悪な見た目の魔物オーク系統が現れだした。

ここからは母さんが殲滅していくわと黒いオーラを纏うニーナがそこにいた。

「母さんオーク嫌いなんだよね確か?何でそんなに嫌いなの?」道中オーク達を出会い頭に魔法で殲滅していくニーナにロイドは進みながら聞く。

「男のあんたには分からないかも知れないけど、あれは女の敵なのよ本当に」と顔を顰める。

「ふーん俺は母さんの方が怖いんだけどな~」「あん?何か言った?」「いえ、何でもありません~」と言いながらそそくさ先に向かって進むロイド。

そして20階層に到着した一行、そこには初級ダンジョン最後のボスのホブゴブリンジェネラルが3体、オークが20体、ハイオークが10体現れた。

「オークがこんなに」と顔を顰めると無数の火の玉を造り出しながら「さっさと消えなさい!ファイアーブラスト!」スドドドドと暫く続く攻撃で白い煙が濛々と上がる、そして視界がクリアになったそこにはアイテム以外何も残らない更地が現れる。

「あ~~スッキリした!さあ帰りましょ?」

「お、おう」「そ、そうだね!」「ガ、ガウ」とニーナ以外何とも言えない空気になりながら出現した帰還転移陣で帰還するのだった。

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