第6話

三人で訓練場で待っていると気怠そうに頭を掻きながら男がやってきた。

「ふ~うぁ~あ、だりーな折角今から飲んで気持ち良く寝ようと思ってたのによ~」

「ダルフさんお酒ばかり飲んでないで偶にはちゃんと仕事らしい仕事しないと亡くなったパーティーメンバーに笑われますよ!」

「んだよ!くだらねえ事だったら帰るぞ!んで何の用だ?」

「実はこちらのアレンさんとニーナさんの息子さんのロイド君の登録の為に試験官として相手して欲しいんですよ」

「へえ~坊主いくつだ?」

「俺はロイド10歳だぞ!好きなものは母さんのワイバーンシチューだ」

「お、おうそうか別にそこまで聞いちゃいないが・・そんなに急いで冒険者にならなくても良いんじゃないか?」

「いや今が良いんだ!俺は早く父さん達と一緒にダンジョンに入って冒険したいからな」とロイドはニカッと笑う。

「分かった、じゃあこの真ん中の一番広い所使うか、すまねえが皆ちょっと端に寄ってくれ!」そう声を掛けると訓練中の冒険者達は、なんだなんだと此方に来て端に寄る。

「あれダルフさんじゃないか何をするんだ?」「何でも冒険者志望のあの子の力を見る為らしいぞ」「え!?あの子私の弟よりも小さいんじゃ?」「大丈夫かよ!?」など心配する声が上がる。

「坊主の武器は何だ?そのショートソードか?それともその小竜が戦うのか?」

「いやこいつは友達で戦うのは俺だぞ!」

「分かった、なら適当打ち込んで来い!魔法が使えるな使っても構わんぞ」

「え?良いの?じゃあちょっと本気でやろうかな、これっておっちゃんを倒しても良いんだよねステラさん」

「だーはっはっはっはっははー面白い事言うな坊主、やれるもんならやってみろ!俺はな少し前までAランクパーティーに所属していた元バトルマスターだ!得意な武器は剣と武術全般だ。勝てたら無条件で合格にしてやる!」

「ほんと!?やったー!」

「始め!」

「え!?ちょっとロイド・・」とニーナが言い切る前に審判が合図を出した為聞こえなかった。

「はえー!?」と驚愕の表情で何とか受けるダルフだが数合打ち合った後、これはやばいと思い本気で身体強化も使い反撃しようとした時には既にロイドの魔法がダルフに迫り来るところだった。

ロイドの放った初級魔法ファイアーボールをもろに受けて「どわー」っと叫びながら訓練場の端まで飛んで行き壁に激突して気絶するのだった。


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