第9話 最強錬装者、起つ!
ケールス兜典領教率者・ナラス=ハヌドとの会見を終え、彼が宮殿内に用意してくれた客室へ侍従の先導で向かう二人の錬装者チームリーダーは今回のミッションが有する危険性に改めて気を引き締めていた。
特に、一命こそ取り留めたものの神経系に深い後遺症を負って会話や運動が困難となり、もはや正常な日常生活すら送ることが困難となった
「キョウサク、もし
何しろあの
──尤も、君がその場に居合わせたならメンツにかけてもジッとしてはおれんだろうが…。
だがその際にも、くれぐれも慎重に対処してくれよ…!」
「ええ、分かっています。
堅牢極まりない我らの錬装磁甲を易々と貫くヤツの魔爪…話には聞いていたものの半信半疑だったんですが、あのモラレスさんの無惨な姿を目の当たりにした時、その存在をまざまざと実感しましたよ…」
微かに震える星拳鬼會リーダーの慨嘆に、最強錬装者も硬い表情で頷く。
「そういうことだな…。
決して彼に油断があった訳じゃない…あの百戦錬磨の鉄槌士隊々長はそんな甘い漢じゃないからな。
決着後、あの龍坊主は腹立たしくも密かに撮影したらしいVTRを
「私もあれには唖然としましたよ…!
何しろ直前にあれだけの殺人ラッシュを食らっていたにもかかわらず、その後の動きを見る限り何らのダメージも負っていないようでしたからね…」
「うむ、確かにな…。
実際、錬装者随一というべきアティの連撃にあそこまでの耐久力を示した教軍超兵は間違いなくザディフがはじめてだろう…。
しかも連中の急所である髄魄に攻撃を集中していたというのに…」
「ええ、まさに完璧なまでのキャノンパンチ連打でしたよ…。
あれが有効打にならないとなったら、我々錬装者は根底から
だが危機感溢れるこの言明に、最強錬装者はきっぱりと首を振った。
「いや、その必要はない…少なくともこの私、レイモンド=スペンサーに限っては…!
もちろん我々の主敵たる教軍超兵の戦闘力が年々強化の一途を辿っている以上、旧套を墨守することは徒に死の危険を増すだけなのはいうまてもない…しかし幸いというべきか、聖団の携行兵器開発は開戦初期に比して長足の進歩を遂げており、私もリーダーとして軍団員のトレーニングプログラムを格闘戦の鍛錬からこれらの運用に熟達することに主眼を置いたものに改定し、さらなる重武装を日々励行しているところではあるが…」
ここでCBK総帥は極限まで鍛え抜かれ、もはや文字通りの鉄拳と化した右拳を握りしめつつ静かに断言した。
「たとえ傲慢と謗られてもよい、そしてこの選択が万一、彼と同じ運命を招来しようとも…!
──今、アティーリョ=モラレスとの友情にかけてここに誓うッ!!
怨敵ザディフからの勝利は、この拳によって獲ることをッッ!!!」
蒼き操獣少女は異世界奈落を今日も舞う! 幾橋テツミ @tetsumi251
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