第4話 絆獣聖団、博徒教率者と会見す
ティリールカ愛華領の若き教率者が奇怪な白い従者の情熱的?なフェラチオに悶えていたまさにその頃、隣接する【ケールス兜典領】救援の使命を帯びて現地に乗り込んだ【絆獣聖団】の面々は、博打打ち上がりの異色の教率者・ナラス=ハヌドと彼の宮殿内で謁見していた。
全部で6チーム存在する錬装者軍団の内、自他共に認める最強者である25歳のカナダ人・レイモンド=スペンサーが率いる【Crimson Bad Knights】(深紅の悪漢騎士たち)と、進境著しい21歳の那崎恭作がリーダーを務める日本人主体の【星拳鬼會】の精鋭がそれぞれ5人ずつ、そして女性のみで構成される操獣師は、特級を意味する“ドゥルガー”の称号を持つハワイ出身のミリラニ=カリリ(20歳)と、弱冠14歳の聖団期待のホープ・佐原真悠花が加わっていた。
さて、教界心尽くしの馳走が満載された一枚物の豪奢な白化粧石の大テーブルに向かい合って着座した彼ら地上人たちは、まず上座の教率者の傍らにミリラニと真悠花が陣取り、以下CBKと星拳鬼會の面子がランク順に並んでいる。
彼らが纏っているのはいわば聖団の
他方、二人の操獣師もほぼ同じ
即ち、五角形の淡い
そして後者に至っては、小麦色の肌にマッチしたカーリーヘアまでが同色に染め上げられていた。
「…いや全く、この稀代の博徒の目を以てしても、神牙教軍の企みだけは読めぬわ…!
ところでこの機会に尋ねてみたいのだが、貴君らはあ奴らをいかなる行動理念を有する敵と見ておられるのかな…?:」
既に絆獣聖団が
エネルギッシュな精気を発する小太りの体型と脂じみた光沢を放つ禿頭に象徴されるように、現在、全体的に指導者の若返りが進んでいるラージャーラにあってキャリアだけを鑑みれば古株の部類に属するのは間違いないが、時代の波に抗うかのように“生涯現役”を標榜するナラスは今回の〈界難〉に対しても何ら怯むことなく闘志満々で臨んでいるようであった。
──質問には当然のごとく、もはや単なる1チームの長の枠を超えて聖団の重要幹部の一角を占める若き英雄・スペンサーが応じた。
「慨嘆に耐えぬことですが、全114教界の内、実に62領もが連中によって陥落し果て、実に47名もの教率者が命を落としたことが確認されています…。
ですが奇妙なことにそれらの教界が神牙教軍の勢力下に編入された顕著な形跡は見られない…いや寧ろ、連中によって【枢覇界】なる特例地に指名されたごく少数を除いては、急速な廃墟化が進行している模様なのです…。
そして何より不可解なのが、食料その他の生存物資の生産能力を凌駕するほどの人口増加に悩んでいたはずの教界においてすら、もはや無人の荒野かと見紛う場所が少なくないということ…!」
この言に、ナラスも深く頷く。
「まさにその通り…実に奇怪な現象というしかないが、遥か以前より、あの悪魔のごとき軍団を駆動する根源意志を〈虚無〉と見做していた私にしてみれば寧ろ必然的な結果と思える…。
おそらく、奴らの最終…いやそうではないかも知れんが、とにかく主要な目的の一つに“人間族の絶滅”があることは間違いなさそうだ…。
そして目下のところ、
だが、今回の
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