第3話 愛華領教率者、達する

 霊純水によって“未来の妻”を入念に清め、彼女を隣の休憩室に用意された寝台に休ませたゼド=メギンは、全裸のまま再び【沐浴室】に戻った。


 そこでが彼を待ち受けていた。


 全身が光沢ある白色でつるつるの、のっぺらぼうの軟体人間が跪いていたのである。


「……」


 実はこの人造生物は、彼がここを訪れた際には必ず登場するのであった。


 若き教率者は、黙したまま軟体人の前に立つ。


 ローブを脱ぎ捨てた時からいささかも硬度を失っていない“王者の性器”は、高貴なる霊光オーラを発しつつ白い貌の正面に誇らしく屹立している。


 次の刹那、のっぺらぼうの丁度口元付近にぽっかりと直径3センチほどの空洞が開き、ためらうことなく一歩踏み出したゼド=メギンはそのままを彼女?に含ませた。


「くうっ」


 かくて奇怪な口腔性交が開始され、思わず呻き声を上げた全裸の美青年は両手で軟体人の頭部を押さえつけつつ上体を弓なりにのけ反らせる。


 くちゅ、くちゅ、くちゅ…。


 をすぼめつつ、卑猥ともいえる湿った音を立てながら支配者の男根を吸いしゃぶる白い怪物…そしてあたかも苦痛に耐えるかのように眉根を寄せた悩ましい表情で発せられる甘美な喘ぎ声が室内の空気を震わせる…。


「あっ、ああ…!


 も、もし異世界人であるリサラとの間に世嗣よつぎが得られないのであれば…こうして採取私の精細胞を彼女の卵細胞と人工的に融合させるしかない…!


 は…果たして、二つの世界の美と力を代表する我々の遺伝子を受け継ぐ存在はどれほどまでに優れた存在であろうか…!?」


 主の肉の歓びをさらに高めるためか、忠実なる異形の下僕は彼の臀部に伸ばした両手の柔らかな五指で引き締まった筋肉の双丘を淫靡に嬲る。


 そして、そのうちの一本が肛門に潜り込んだ瞬間、ティリールカ愛華領に属する17万人の教民の頂点に立つ若き教率者は隠しようのない法悦エクスタシーの叫びを放ちながら〈人型精液採取機〉の内部に思うさま射精したのであった…。


 


 

 



 





 

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