名作から技を盗め

 みなさん、ラノベ作家を目指すからには、紙なりwebの小説を読んでいると思います。書籍で売っていたり、カクヨム上でランキングトップの作品は一定の面白さが保証されています。読んでない方はぜひ読みましょう。アウトプットも大事ですが、同じくらいインプットも大事です。


 インプットも大事ですが、漫然と読むのでは意味がありません。小説自体を楽しむのも大切ですが、どうして面白いのかの分析も大事です。web小説なら「エピソードの終わり方はどうなっているのか。いかにして次の話を読ませたくなるようにしているのか」を意識する必要があります。


 先日、今更ながら『涼宮ハルヒの憂鬱』を読んだのですが、さすがプロだな、という技法がありました。

※2024年6月30日まではカクヨムネクストで無料で読めるので、未読の方は読むのをおすすめします。単純に面白いからです。



 まず一つ目は主人公キョンの独白。単なる独白ではなくひとりノリツッコミをさせることで、テンポよく進みます。普通、サブキャラにボケさせて主人公がツッコむはずですが、これだとワンテンポ遅くなります。


 二つ目はキョンの名前について。作中でキョンは一度も名前で呼ばれないわけですが、これにより読者は「キョンのフルネームはいつ出てくるのか」という一つの楽しみ方が増えていると思います。私は作者ではないので、他の意図があるかもしれませんが。これは自作にも応用できそうです。他のキャラクターから主人公を呼ぶ時に「君」や「あなた」としか呼ばせず、かつあだ名でも呼ばせない。そうすれば一人称をうまく使ってより没入感を読者に与えることができるのではないでしょうか。


 どちらにも言えることですが、一人称であることがキーとなっています。三人称で小説を書くのもいいですが、それぞれの特徴を最大限に活かすためにも書き始める前にどちらがより効果的か考える必要があるでしょう。



 今回は一つの作品にフォーカスして分析しましたが、他の作品でも同じように作者の創意工夫があるはずです。昔はよく「師匠の背中を見て育つ」と言われましたが、それと同じではないでしょうか。ライバルになるであろう私たちには懇切丁寧には教えてくれません。こちらから積極的に名作から技を盗みに行きましょう。今回はこの辺で。

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