第31話 天罰?呪い?

授業が始まっても

ボクはずっと上の空だった。


そしてそれは浅井も同じようだった。

大人しく席に着いて焦点の定まらぬ視線を

黒板の方へ向けていた。

仲の良い友達が立て続けに死んだことに対して

不安を感じているのかもしれない。

それとも恐れか。


北条は深夜、

公園の遊具で首を吊って自殺した。

通りがかった酔っ払いが発見したらしい。


日野は部屋で事故死。

日野の死体は

明け方、家に帰ってきた母親が発見した。


日野は母子家庭だった。

母親は水商売をしていた。

夜、母親が仕事に出かけると日野は一人になる。

自然と日野の部屋は溜まり場になっていた。

北条や浅井も入り浸っていたようだ。

そこで3人は煙草を吸い、酒を飲むこともあった。

女の子を連れ込んでいるという噂もあったが、

ボクはそれが事実であることを知っていた。


どちらにせよ。

ボクには関係のないことだ。


それにもし神が存在するのなら。

これは『天罰』なのかもしれない。

未来をいじめたことに対する。

いや。

ならばこれは『呪い』なのか。

そしてもしそれが後者であれば、

実行したのは神ではなく未来・・。


ボクは頭を振った。


その時、浅井がボクの方に顔を向けた。

浅井は怯えたような表情ですぐに目をそらした。


窓の外は曇り空だった。

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