第29話 願望?

昨夜見た夢のせいで

今朝早く目覚めてしまったせいか、

夕食を終えるとボクはすぐに眠くなった。


部屋に戻って

スマホを手にボクはベッドに横になった。

『夜霧家の一族』

にアクセスしたが、

物語は更新されていなかった。


考えすぎだろうか。


そもそも未来の書いた小説では

登場人物の外見に関する描写がされてなかった。

つまり。

ボクが夢の中でミた登場人物達は

すべてボクが作り出した幻想ということになる。


ボクは未来をいじめていた彼らを

心の底から憎んでいた。

その願望が

昨夜寝る直前に読んでいた

未来の小説に反映された。

そう解釈するのが妥当である。


だが。


それならなぜ北条清家は死んだのか。

これは単なる偶然なのか?


クラスの生徒達は北条は自殺したと話していた。

あの北条が自殺。

にわかには信じ難いことだった。


「人の心の内は誰にもわからないからねぇ」

蘭子はそう言っていた。


たしかに蘭子の言葉は最もだ。

心理学者の言葉など詐欺師と大差がない。

それはわかっている。


それでも。

なぜかボクは胸騒ぎがした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る