書きかけの殺人事件に転生したとある旧家の名探偵として巻き込まれたが、それは遺産相続にまつわるボクは推理小説の世界だった・・

第28話 対峙？

放課後、

教室を出ようとしたボクの前に

大きな影が立ち塞がった。

日野正義だった。

「ど、どけよ・・」

ボクは震える手を握り締めて

190cmに迫るその巨漢を見上げた。

「どけよ？

　随分と強気じゃねえか。

　ちょっと付き合えよ。

　清家のことで話がある」

「ぼ、ボクには話すことはない」

「いいから、こっちに来いよ」

そう言って日野はボクの左腕を掴んだ。

「離せよ！」

ボクは腕を振りほどこうと足掻いたが、

日野の腕力の前では

ボクの華奢な体では到底歯が立たなかった。

「ひっひっひ。

　暴れるとまた痛い思いをすることになるぜ」

日野の手に力が入るのがわかった。

ボクは痛みで顔を歪めた。

「ちょっと！何してるの！」

その時、廊下の向こうから声がして、

蘭子がこちらに走ってきた。

「ちっ、面倒な奴が来たぜ」

日野は舌打ちをすると、

ボクの腕を離した。

「大丈夫？」

蘭子はボクにそう言葉をかけると

日野の方を睨み付けた。

「北条があんなことになったんだから

　あなたも少しは大人しくしてなさいよ」

「ちっ、うるせえよ、ブス！」

日野は大声で罵倒すると

中指を立てて去っていった。

「セクハラとパワハラで訴えるよ！」

蘭子は日野の背中に向かって叫んだ。

廊下にいる生徒達が興味深そうに

ボク達を見ていた。