第七話:堕落の超雄
「てめぇ、よくも俺の商売道具である顔を仕事に支障できるくらいに滅茶苦茶にしやがったな! 詫びろ! 詫びろ! 詫びろ!」
その姿は正義とはかけ離れた醜悪の正体を晒し、ただ恫喝するしかないくらい憤り狂っていて、それを見た俺は引くくらいの恐怖と嫌悪を思い知った。
だが、俺が心配したのは足を撃たれた奪の方だ。小さいが燃えたような小穴で抉られてやがる。
「大丈夫か、奪!」
「くっ、ぐぅ…俺を心配するくらいなら…あの
「こんな時に何考えてんだ!? 倒すったって、どうしたら!? 逃げるのが先だろ!?」
俺が慌てふためく間、奴は、中勝は狂った笑いを見せながら、俺を脅迫する。
「命乞いしろ! 一人は許す! だが、二度は無え! 俺に従え! 敬え! 平伏せ! 愚図の
中勝は辺りから火を放ち、下水にまで引火し、火柱の壁を上がらせる。余りの熱波に呼吸さえもままならい。
その燃え上がる空間は地獄と化し、中勝は悪魔であるように振る舞う。
俺はただ絶望するしかなかった。この世とは思えない凄惨な状況にただ笑うしかなかった。
「一人か、一か八かやるしかないか…ハハッ」
だが、俺はある一縷の希望を想い、中勝の前に歩き、立ったと思えば、頭と手を熱いコンクリートの地面に置き、腰を下ろした。
そう、土下座だ。そうした瞬間、俺は弱々しく頼み込んだ。
「お願いだ! 俺はどうなってもいい! こいつだけは助けてやってくれ!
俺は惨めったらく、中勝に、憎むべき偽善犯罪者に縋った。
奪の野郎は失望するだろうな、こんな俺を助けたことを。
その甲斐あって、中勝は醜く頬を歪ませ、俺を見下ろす。
「ああ、いいねぇ。息巻いている調子乗った
中勝は右手に溜めた炎を投げようと振りかぶらせる。
分かってたよ、こんな結果になるなんてこと。
寧ろ分かりやすいんだよ!テメェのようなド三流屑野郎を誘う為にあえて惨めに振る舞ったことをな!
俺はすかさず強く踏み込んで立ち上がり、奪が持っていた拳銃を中勝の眉間に殴りぶつけた。
高熱を帯びた拳銃がしても暴発構わねぇ!高熱を帯びた引き金に指が焼かれようとしったことか!
俺史上最高の反撃の為に引き金を強く押し込んで、暴発した拳銃の破片は俺の右手を代償に奴の両目を抉り射抜いた。
「おぎゃああああああ!? 目が!? 目がぁ!?」
奴はすぐさま倒れ込み、眼を塞ぎ込み、じたばたと這いつき回る。
ああ、最高だ!これ程、最高な気持ちに陥ったことはない!
「最高にHighって気分じゃねえかぁ! ハハハハハハハ!」
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