第六話:悪意の答え
「お前が言ったじゃないか。火貌中勝に、バーニングファイターに復讐したいのは彼女、芽花ミミの為ではなく、お前自身の為だと。それとも、さっき言ったのはつまらないハッタリだったのか?」
「五月蝿え!
「なら、お前は彼女に何かしてやったのか? ただ彼女の訳を深く聞こうとせず、上っ面の会話だけで日々の疲れを癒そうとするだけ。もし、彼女を救いたければ、安全な所で駆け落ちするなりすればいい。そうしなかった、お前の落ち度だろ。」
俺は両手でこいつの首を絞めようと思った。
分かってるんだよ。復讐なんてみっともない自分のためで、芽花先輩を守れなかった贖罪にもならないしょうもない野郎だなんてことを、こいつには見捨てた罪があっても、助けさせる道理もないことを、図星で憤る俺が一番分かってるんだよ。
「俺だけが悪いってのかよ! ああ、そうだ! 周りから逃げ過ぎて、陰湿になった俺が弱いのは分かるんだよ! そんな俺をお前に何が分かるってんだよ!」
俺が憤り過ぎた途端、こいつは俺の腕を掴み、柔を掛け、床に組み伏させた。
俺はそれでも睨み返すことは出来た。だが、奴の目を見た瞬間、怒る気さえも失せていた。
静かに燃え続けるような暗く光る瞳を俺は確かに見た。
「捨て子の俺を育ててくれた
「何なんだよ、お前も親しい者を殺された
「別に恨みは無かった筈だった。その男が
「ただ、何だよ? 勿体ぶらずに言えよ?」
「その男がいなくなったこれからは何故かただ虚しいと思った。俺は実の父から虐待を受け、母から見捨てられ、喜びも怒りも哀しみも楽しみもその他全ても感じられなかった俺が初めて得た感情がそれだ。だから、その虚しさに応える為に全ての
「お前、虚しさだけで復讐したのかよ。」
俺は押さえられた手をどかされ、気づけば、また、手を差し伸べられていた。
「お前も、
俺にとって、あいつ、いや、奪は眩しくも、暗く灯し続ける何かを持っていた。
それに気付いた俺はまた、再び手を取ろうとした。
その時、奪の足下が何か射抜かれ、その男は不意に倒れる。
「奪!?」
「くっ、もう、ここまで追ってきたか…!」
俺たちは来た道である筈の暗い空間に炎が舞い上がるのを見た。
それは全身に燃え、爛れた甘い
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