第四話:絶望への復讐心
「てめぇ、分かってないようだな。
「ガハッ! ゴホッ! ゴヘッ!」
奴は嘲笑いながら、執拗に俺の脇腹を蹴り付ける。確かに言う通りじゃねぇか、家族や群衆、世間すら見てくれない癖に真実を伝えても無駄じゃねぇか。
それでも、俺は反抗する。
「うるせぇ、俺のマオを見捨てやがって…グハッ!?」
「知らねえよ! そんな雑魚! お前、確かあのコンビニにいたバイト野郎じゃねぇか? いつまでも逆恨みしやがってよぉ! うぜぇんだよ、糞野郎が!」
奴の罵詈雑言と俺を取り押さえる悪漢共の下卑た嘲笑のハーモニーが俺の神経をより逆立てた。
「ふざけるな、逆恨みじゃねぇ! 芽花先輩を殺したのはお前だろ!」
「違ぇよ、あの女は俺の
「はっ?」
俺はその事実を聞いた時、今までの憎悪が真っ白に消え去った。
「ああ、あいつの為に身体張ったんだろ? でも、残念。あいつはもう処女じゃねぇ、俺が頂いた。あいつの喘ぎも、白濁も、全部だ。」
俺は奴の言い分をまともに聞けなかった。芽花先輩は笑顔の裏で奴との繋がりを持ったことに。
「なのに、あいつは勝手に避妊逃げるわで、ムカつくから殺処分しただけなんだよ。悪いなぁ、あいつの為にそんな無駄な事をさせちまってなぁ。ギャハハハハハハハハハ!」
今までの憤りが全部、絶望に飲み込まれた。何も、見返りが欲しいわけじゃ無い。芽花先輩の仇を取りたかっただけ…
「おい、何も言わねえのかよ。この塵、もしかして、精神が病んで壊れちまったのか、おーい、おーい、このお馬鹿さん。」
俺は不意に奴の面に唾をふっかけた。奴の表情に青筋が立ち、凶悪な眼光で俺を見つめた時、生まれて初めて、してやったと感じた。
「あ?」
「なぁにが、俺の女だ。俺ははなからあの女の復讐の為にやった訳じゃねえ。テメェみたいな燃やすしか能のない空っぽ頭のお花畑炎上野郎が気に入らないからやっただけだ。一人でに彼女自慢しやがって、頭はどピンクだな、意味の無い快楽主義の放火魔の分際でいい気になってんじゃねぇよ、この燃・や・し・野郎が。」
次の瞬間、奴の片足が燃え、その足で俺の脇腹を焼き入れた。
幸い、奴への対策として、裏の怪しい流通店で防火性のコートやらシャツなど買ったのを着たおかげである程度は抑えられていると思いたいが、やっぱり熱くて痛かったのは防げなかった。
「あっ、いっ! くっ!」
「うるせぇ、塵の分際で! 屑の分際で! 下手に動いたら、調子に乗りやがって! テメェみたいな非国民はな、俺たち
「何が、
「だったら、消えやがれ、未来の
芽花先輩の仇を取りたかっただけ…だと、絶対違うね! 俺は
あの世に行っても、呪ってやる!この平和主義の暴力者共が!
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