再会
まさか、と小さく呟いた彼の口元は少し笑っていた。笑うしかない、というか。
「嬉しくないの?」
意地悪っぽく微笑むと、彼の表情がまた変わった。驚愕、疑心、そして不意にヘナヘナと、力が抜けていく。
「……死んだのかと」
「幽霊かもね?」
「……後を追おうと」
「だからそんな物騒なもの持ってるの?」
危ないから捨ててしまおうね、と力の抜けた彼の手から奪ったナイフを投げ捨てる。
「君がいなければ、生きている理由がなかった」
「知ってる」
「置いていかないで」
「ごめんね」
謝る以外に何も出来ない。今の私は何者なのだろう。幽霊や、砂や塵かもしれない。
それでも君を抱きしめている。それでも君を、愛している。
終【お題:まさか(2024/09/07)】
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます