すぐそばで輝くもの
老いた魔女から指輪を貰った。小さな水晶が星座のように象嵌された、美しい指輪だった。
「これさえあれば私にも魔法が使える」
魔女が姿を消した後も、私は指輪を肌身離さず持ち歩いた。ポケットの奥に忍ばせて、たまに指先でそっと触れた。どんな時も、指輪の存在が支えだった。怒鳴られても無視されても嗤われても。でも、殴られて倒れて、指輪を草むらに落とした時は辛かった。必死になって探したっけ。
いつかお前らを鼠に変えてやる。何度も血の味を噛みながら胸の奥で叫んだ。そしてやっと、指輪が似合う年齢に成長して。これはただの古ぼけた指輪だとわかっても。
それでも変わらないもの。夜空を見上げる。眩しいくらい星が綺麗だ。
終【お題:指(2024/06/01)】
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