奪い尽くした
あなたは私から多くのものを奪った。時間、労力、金、精神力。あなたと関わる度に私は何かしら削れてゆく。それに疲れたと言う暇さえない。「きっとそれでもよかったから」そう思ったのは、あなたが居なくなった後のこと。
残されたのは大きな穴だった。あなたが奪ってしまったからその分ぽっかりと穴があいたのだ。そこは透けて冷たい風が通るばかりで、寒くて。
奪われたものは戻らない。それはもうあなたの一部になっていたから。そしてあなたは私の一部でもあった。だからあなたが失われた場所はただの穴になり、代わりを埋めるものなど見つからない。
その空白さえあなただった。私から奪って奪って奪い尽くした、愛おしいあなただった。
終【お題:奪う(2023/11/04)】
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