火星にて
花を咲かせることなんて、そう難しいことじゃない。なんて、嘘だ。水をあげては根を腐らせて、じゃあと控えたら枯れちゃって。どうしてうまくいかないの。
「観察して、経験するしかないの」
先生は辛抱強くそう言った。僕は歯噛みするしかない。
「育て方に正解があればいいのに。こうしていれば絶対に安全で、正確だって答えが」
優しいのね、と先生は言った。僕にはわからない。
これはあくまでシミュレーションゲームだ。火星に生物を育む為のお勉強。入植ではなく、ちゃんと火星生まれだと、胸を張れるように。
「急がず、失敗しながら、学んでいきましょう」
先生は、ロボットアームで僕の頭を撫でた。先生の本体は、地球にある。
終【お題:育つ/育てる(2023/09/02)】
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