澄んだ光
ああ、朝になってしまった。遮光カーテン越しにぼんやりと光る朝の気配。鼻の奥の痛みを堪え、腫れた瞼を持ち上げて、ベッドから降りる。
カーテンを開けると、部屋の中へと雪崩れ込んでくる、光。圧倒的に正しくて、健やかな、朝の澄んだ光。
朝が来なければいいと思っていた。一晩中泣いて、胸を掻き毟って、頭はすっかり空っぽになってしまった。窓の外を睨む。
私がこうして泣いているのに、どうして世界は明るいの。
私がこうして苦しんでいるのに、どうして空は青いの。
眠れないまま、救われないまま、自己否定の声を聞き飽きた耳の上を、鳥の囀りが滑っていく。
時に洗い流されないまま、私は薄闇の底に取り残されている。
終【お題:朝(2023/07/01)】
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