万雷の、万感の
もう、言いたいことなど何もない。そう、父は吐き捨てた。俺に勘当を言いつけた直後。
嫌気がさしてすぐさま飛び出した。大事なギター一つ持って、最終列車に飛び乗った。
夢を追うのがそんなに悪いのか。父の思うように生きないことがそんなに悪いのか。疑問と不満を爆発させ、全てを音楽にぶつけた。
こうして今は眩しい照明に囲まれ、万雷の拍手に包まれて。欲しかった地位と栄光を手に入れて。そしてやっとわかった。
寂しかった。伝えたかった。貴方は俺に何も言いたくなかったのだとしても、俺は違うよ。
テレビでもいい、ラジオでもいい。俺の歌を贈るよ、父さん。
俺の最愛の家族――途切れた絆だったとしても。
どこかで聴いていて。
終【お題:おくる(2023/03/04)】
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます