第28話「夜はご一緒に」

「――手持ち無沙汰ぶさたになっちゃった……」


 ルナを甘やかした後は晩御飯を一緒に食べたのだけど、片付けが終わったタイミングでアイラちゃんがルナを迎えに来てしまった。

 それにより彼女は部屋に帰り、俺はお風呂に入ったのだけど――もうやることがなくなってしまったのだ。


 今までなら一人でもアニメを見たり、ゲームをしたりして、時間を潰していたのだけど……ルナと一緒にアニメを見るようになってからは、一人で見るのは物足りなくなってしまっている。


「もう寝ようかなぁ……」


 ――ピンッポーン♪


 テレビを消し、ソファから立ち上がった時だった。

 突然部屋のインターフォンが鳴ったのは。


「こんな時間に……?」


 まだ夜はけていないけど、人が来る時間でもない。


 もしかしたら――。


 そう思い、俺はすぐにドアを開けた。


「あっ……聖斗様、ごきげんよう」


 ドアを開けた先に立っていたのは、優しく微笑む桃色髪の美少女。


 やはり、インターフォンを鳴らしたのはルナだった。


 髪色にあった、桃色を基調とした綺麗なパジャマ――いや、ネグリジェと呼ばれる服にルナは身を包んでいるため、彼女もお風呂に入ってきたようだ。

 後ろにはアイラちゃんが控えている。


「どうかしたの? もしかして、忘れものかな?」


 ルナが部屋に来た理由がわからず、俺は首を傾げて尋ねる。


 それにより、ルナは照れくさそうにハニカんだ。


「その……また、ご一緒させて頂きたく……」

「えっ? あっ、もしかして……寝る時間になるまで、一緒にアニメを見たいってことかな?」


 ルナはアニメ好きのため、俺の部屋に来た理由はそういうことだと思った。

 しかし――。


「…………」


 ルナの後ろに控えているアイラちゃんが、凄く物言いたげに目を細めてしまう。

 どうやら俺は、間違えてしまったらしい。


「いえ、そういうことではなく……あっ、もちろん、アニメ視聴もご一緒させて頂きたいですが……!」


 俺がアイラちゃんに気を取られている間、ルナは何かを一生懸命伝えようとしていた。

 今まで積極的に甘えてきていた彼女にしては珍しい、歯切れの悪さだ。

 その間にも、ルナの後ろでは――《察しろ》とでも言わんばかりに、アイラちゃんが無言で圧をかけてきている。


 この子、幼くてかわいらしい顔をしているのに、結構圧が強いんだよな……。


「えっと……とりあえず、中に入らない?」


 ルナが何を言いたいのか、女心にうとい俺にはわからず、時間を稼ぐことにした。

 もう少し経験があれば察することもできるんだろうけど、生憎そんな経験も積んでいないし。


 莉音は――意外と、言いたいことを言ってくるので、あまりこっちが察しないといけないことが少なかった。

 だからこそ、勘が大してよくない俺でも、うまく付き合っていけたんだろうけど。


 そんなことを考えながら、ルナとアイラちゃんを部屋に入れると――

「…………」

 ――ルナは照れくさそうにモジモジとしていて、何も言ってこなかった。


 両手の人差し指を合わせながらチラチラと俺の顔を見てくる姿はとてもかわいらしいのだけど、言いたいことがあるのなら言ってほしい。

 もう何を言われたところで、驚かない気がする。

 それだけ、ルナには驚かされてばかりだったのだから。


「ルナ様、お言葉になされませんと、聖斗様はわからないと存じます」


 ルナが話さず、俺も察することができないという状況で、痺れを切らしたんだろう。

 アイラちゃんがルナを急かした。


『その……改めてお願いさせて頂くのは、恥ずかしくて……』

『何を今更。既にご経験済みではありませんか』

あの時・・・は、そうするしかありませんでしたし、態度に出さないようにしていましただけで、内心はいっぱいいっぱいだったのですよ……!? 』


 何やらヒソヒソと話し始める二人。

 ルナは一生懸命何かを、アイラちゃんに訴えている。


 なんの相談をしているんだろう……?

 あまりもったいぶられると、何を言われるのか怖くなってくるな……。


 そう思いながら、見つめていると――

「あ、あの、聖斗様……!」

 ――顔を真っ赤にしたルナが、ギュッと目を瞑りながら俺の名前を呼んできた。


「は、はい!?」


 当然、いきなり大声で名前を呼ばれた俺は、驚いて戸惑ってしまう。

 そんな俺に対し、ルナは――。


「これから寝る際は、私もご一緒させて頂きたいです……! ワイシャツも、お貸しください……!」


 想像ほどやばいことは言ってこなかった。


 いや、前者はともかく、後者はなぜ……とツッコミたいけど。




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【あとがき】


読んで頂き、ありがとうございます(*´▽`*)


この度、皆様の応援のおかげもあり、

初めて書き下ろし小説を出させて頂けることになりました…!!


《孤高の華》と呼ばれる外国人美少女が義妹に!?

クーデレ兼ツンデレヒロインが不器用に甘えてくる、

じれ甘ラブコメ開幕!!


タイトル:

『孤高の華と呼ばれる英国美少女、義妹になったら不器用に甘えてきた 』


発売日は、4月25日です!!


Parum先生が描いてくださった最高の表紙は↓URLの近況ノートにて公開しておりますので、

是非是非見て頂けますと幸いです(≧◇≦)


クーデレ大好きで、クーデレヒロインを沢山書いてきたネコクロが、

「これが完成系…!!」と思っている作品です♪


https://kakuyomu.jp/users/Nekokuro2424/news/16818093074772538155


是非是非、よろしくお願いします(#^^#)

これからも是非、楽しんで頂けますと幸いです♪

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