信仰
その頃の私の中には、確かに神が居りました。
私は敬愛する司教様の元、信徒の一人として働いていました。私の信仰は絶対でした。目は輝き手脚には力が満ち、あらゆる不安とは無縁でした。
あの天災の日。地がたわみ、全ての柱が折れ、煉瓦が崩れた日。
司教様は私を庇った。瓦礫の山に埋もれながら。それは献身の極み、美しき行い。その様な人は必ず報われるべきです。なのにですよ。あの方はそのまま二度と目を覚まさず。
私だけが生き残った。
神が本当にいるのならばこんな事を赦す筈はない。全身全霊であの方の助命を祈り、願っても叶わない、そんな世界は現実ではない。
私の中の神は消えた。
私は、ただ人を愛していただけだった。
終【お題:祈る(2022/02/05)】
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