第2話 私立陽西学園
まだ陽の明かりはない。月の輝きだけがこの地を照らす時刻に目が冷めた。目の前に誰かいるが分からない。
「君に会うのは初めましてだけど安心して下さい。敵ではありません。君の通う高校の道順・制服・定期を持ってきただけです。あと依頼の概要の説明のために来たです。」
マスクを被って誰か分からない。声も変声器を通しジャミングされている。
組織にこんな変人はいないのでフランシェス卿の関係者なんだろうと僕は思った。
「姿形はなんでもいいけどさ、紛らわしい格好で現れるとそのうち痛い目に遭うよ?例えばおっかない年だけ行った…」
続きを言うのをやめた。マスクの人間の後ろからその張本人が見えたからね。
「年だけ行ったなんなのか聞きたいなー。や・よ・い君」
「いや何もありませんよ?それより鈴愛さんまで来てなんすか?
心配しなくてもドタなんてしないっすよ。」
「今回君の依頼は普通と違って護衛だからね。私も久しぶりの表に出るってわけ。
君の通う高校は私立陽西高校。まぁ至って普通の高校だけど、君は変な時期の転校生徒して役割を果たしてほしい。君はそんなに馬鹿じゃないから学面において心配は置いてない。護衛対象の名前は椎名明日香(しいなあすか)フランシェス卿の孫。バレないように日本の名前と日本語を勉強し、うまく馴染んでいる。写真を見ておくように」
渡された写真には僕と一緒に2人が並んだ写真。明るいオレンジ色の髪に風で結んだ右側の髪が靡いていた写真だ。
「知り合いだったんだな。」
「うん」
「深く詮索する気はなかったが聞かないと行けないからな。どういう関係だ」
横から挟むようにマスクが答えた。
「お嬢様の『元』婚約者兼『元』彼」
元を強調することで罪悪感を際立たせる。うーんずるい。
「申し訳ないと思ってるよ。これでも。でも別れてないと、家が潰れてたよ?それでもよかった?」
これ以上詮索されることは面白くないから怒ったように言う。
「だからフランシェス卿のことになると必死になるわけだ。OK。納得。だけど面白くない!やよいのことを面倒見ていた私に隠し事があったなんて」
「何でもかんでも知ってる方がむしろ怖いと思わない?僕は鈴愛のバストは把握してるし下着の色もい゛だ!」
枕で容赦なく叩いてきた
「な゛なんで知ってるの!!エッチ!!!」
鈴愛は興奮しながら罵った。
「知ってたら嫌でしょ?そう言うことだよ。夜も遅いし後は明日にしよ。さぁ帰った帰った。」
僕は鈴愛たちを追い出した。ドアの前に座り一言呟く。
エリーゼ…いや明日香生きていてありがとう。
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