第2話 抜け駆け

「僕も、宮野花乃さんのことが好きでした。付き合ってください。」

高野幸樹くんは、急に態度を改めて、敬語で言った。え?ウソー!こんな私と?え?ドッキリ?…とかじゃないよ…ね…?本当だとしたら嬉しすぎるんだけどー!

「こ…こんな私でいいの?」

「花乃ちゃんがいいんだよ。」

幸せ…。今人生で1番幸せ!ああ、私にもこんな嬉しいことってあったんだ。勇気を出して告白してよかった…。

「じゃあ、付き合おうか。」

「はっはいっ!」

私は明るく高野幸樹くんに返事をした。高野幸樹くんと付き合えるなんて…!相当美人でもフラれるという噂だったのにこんなあっさりOKしてもらえるとは!私もなかなか可愛いのでは?なーんて!ま、結構顔には自信があるし、ウソってことではないと思うけどね。

「じゃあ、僕のことは幸樹って呼んで。僕も花乃って呼ぶからさ。」

「うん!」

高野幸樹くん、じゃなくて、幸樹はニッコリとしながら言った。私は幸せだったけど、私はあの子の顔を思い出した。琴乃という子。琴乃は私の友達で、仲良し。でも恋バナをしたときに

「私ね、高野くんのことが好きなの。もう好きすぎて、高野くんのことしか考えられなくてさー。」

って言ってた。……これって、抜け駆け…だよね?私は胸がチクリと痛んだ。琴乃は幸樹のことが好きで、ずっと目で追っていた。それは私たちにも分かった。だって…。琴乃が幸樹を好きなのを知っていたから。

「…」

「どうした?花乃。」

ああ、こういう瞬間も抜け駆けになるんだ。私は胸がまたチクリと痛んだ。仲良しだったのに、これで仲が悪くなるなんてイヤ…。でも!幸樹は離したくない!さあ…私、どうする?!

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甘いチョコレートに結ばれて 星尾月夜 @yyamaguchi

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