file4後編「ケジメ」
3月11日
水森警察署
原田「鷹山のニュース番組、多方面に喧嘩売りまくってますね。」
結城「ああ。強気な感じが世間に受けたっぽいね。」
佐伯「それが、裏目に出たと…」
小野「私怨を買ったのでしようかね?」
結城「まあそうだろうな。ええっと…最近喧嘩を売った所は…」
原田「芸能事務所、サッカー選手、政府。キリがないですね…」
結城「政府がこんなことするとは思えんし、芸能事務所もサッカー選手もそんな暇ないだろうしなぁ」
佐伯「ファンとか?」
小野「有り得ますね。」
原田「こんなこと言ったら不謹慎ですけど、考察って楽しいですね」
結城「警察に有るまじき発言だ…」
佐伯「ははは…これがフィクションなら良かったけどね」
結城「世間はあの強気な番組が見れなくなって悲しんでるよ」
佐伯「何気に結構人気あったみたいね。」
結城「珍しいからな、今のご時世。ああいうテーマの番組」
原田「今のテレビは規制ばっかりでつまんないです」
結城「こんな事件起こっちまったら、もっとつまんなくなるぞ」
原田「もうテレビなんて見てません。Footubeとかで十分ですもん」
佐伯「10年後にはテレビ消えてそう…」
結城「さすがにないだろ。スマホとか持ってない俺みたいな老人の情報収集方法がない。」
原田「スマホ持ってないんですか?」
??「結城部長、ちょっといいですか。署長から呼び出しです。」
結城「ん?すぐ行く。」
原田「あの人誰ですか?」
結城「まあ新人は知らないだろうな。あの人は署長の秘書の森っていうんだ。」
原田「こんな警察署に秘書なんかいります?」
結城「知らんがな。まあとりあえず行ってくるよ。」
佐伯「署長が呼び出しなんて珍しいね」
小野「署長の呼び出しにはあまりいい思い出がありません…」
佐伯「何かあったの?」
小野「昔事件関係でやらかしたことがあって、こっ酷く怒られたんですよ。」
佐伯「小野さんがやらかすなんて珍しいですね。」
小野「もう絶対ミスしないって決めました」
佐伯「有言実行だ」
原田「なんかソワソワしますね。」
小野「いい知らせがあるといいのですが。」
………数十分後
結城「…」
小野「長かったですね。」
原田「どうしたんですか?そんなくらい顔して。」
結城「落ち着いて聞いてくれるか…?」
小野「…」
佐伯「そーゆーのいいんで。早くお願いします」
結城「まず、鷹山の捜査が打ち切りになった。」
原田「?????」
結城「署長より偉い本部からの命令らしい。大人しく従ってくれ。」
佐伯「いや?え、そんな。」
結城「明日から通常通りで頼む。」
原田「そんな大人しく引き下がれるわけないですよ!」
結城「俺も、お前らと同じ気持ちなんだ…分かってくれ。」
佐伯「…分かりました。」
結城「今日はみんな帰ってくれ。俺もすぐに帰るから。」
小野「…」
車内
小野「もしもし。今大丈夫ですか?」
……
小野「今すぐに会って話したいんです。」
……
小野「はい。はい。5時にタース喫茶で待ち合わせ。わかりました。」
…ピッ
小野「はぁ…。なるべく、会いたくないのですが…。」
タース喫茶
小野「(もうすぐ約束の時間ですが…)」
カランコロン
店員「いらっしゃいませ〜」
小野「(時間ピッタリですね…)」
??「よお。久しぶりだな。」
小野「久しぶりですね。」
??「なんだよ。いきなり呼び出して」
小野「少しここで時間潰したら、公園でも行って話しましょう」
??「わかったよ。」
小野「…横山さんは、元気でしたか?」
横山「ああ。もちろんだぜ。」
店員「こちらメニューになります。」
横山「おう。ありがとうな」
小野「私がお金出すので、好きなものを頼んでください」
横山「そうか。遠慮しないぞ。」
…
小野「結構頼みましたね。」
横山「文句あんのか?」
小野「いえいえ、あるわけないですよ」
横山「ご馳走様。」
小野「そろそろ行きましょうか。」
横山「どこ行くつもりだ」
小野「その辺の公園ですよ。人気のない」
横山「ならいいぞ」
水森中央公園
小野「単刀直入に聞きます。鷹山唯斗の事件、郡組が関わっていますよね。」
横山「なんでそう思うんだ?」
小野「日本刀なんて簡単に手に入るものじゃない。あれはあなたの日本刀です。しかも、昔捜査なんて打ち切りにできると言ってましたもんね。鷹山のニュース番組で郡組のこと、言われていたし。」
横山「んー半分あたりで、半分ハズレだな。」
小野「?」
横山「ニュース番組でなんて言われてたって俺らにはどうでもいい。問題はあいつの行動だ。あいつは俺らのことを嗅ぎつけて回っていた。そんなことされたらまずい。しかも、ニュース番組出演者に。」
小野「だからって…あの、水森町の人間には手を出さないって…」
横山「なんだ?文句あんのか?誰のおかげで警察なれたと思ってんだ」
小野「…すみません」
横山「でも水森で事件を起こすつもりじゃなかったんだ。」
小野「え?」
横山「井戸田に住んでると思ってたんだ。あいつ、いつの間にか引っ越して水森にいたんだ。」
横山「俺らにも不都合だしな。これは申し訳ないと思ってる。」
小野「…もう水森には手を出さないでくださいね。私がどんな思いで捜査すると思ってるんですか。」
横山「ごめんごめん。多分もうしないよ。」
小野「話したいことは以上です。忙しい中ありがとうございました。ではお先に失礼いたします。」
横山「おう、“またな”」
小野「(もう会いたくないですよ…)」
車内
『…
??? 「嘘が上手なのね。」
横山「そうか?」
??? 「鷹山はずっと水森に住んでるじゃない」
横山「ああ、咄嗟に出たんだよ」
??? 「凄いわね。」
横山「まあ、経験だわな」
??? 「少し、小野くんには気の毒だけど、あの子には盗聴器になってもらう。」
横山「本当に西姉は性格悪いな。」
西本「賢いと言ってちょうだい。」
横山「上手くいくといいんだがな。」
西本「珍しく弱気なのね。」
横山「なんかな。嫌な予感がする。」
西本「何よ嫌な予感って」
横山「ははは」
西本「早く事務所に戻るわよ。」
…』
盗聴器はもう既に壊した。郡組のやり口はいやでも知っている。
小野「本当にあの人たちは単純ですね。私が気付かないわけないのに。盗聴しているつもりが、逆に盗聴されてるなんて思わないでしょう。郡組を潰すためにはこれくらいしなければ。」
小野「それにしても、昔の私はなんてアホなんでしょう。何をどう考えたら組に入ろうと考えるんでしょう。警察のお世話になってないのが幸いでしたが。」
『…
西本「帰りました。ボス」
郡「御苦労」
西本「水森の制圧も時間の問題だと思います。」
郡「そうか。水森は警察が優秀だからな。油断せずに頑張れよ。」
西本「分かっています」
郡「まあ、金積めばだいぶ楽になるんだがな。ハハハ」
西本「なるべく早めに片付けます。」
郡「そうか。なら頼むぞ。」
西本「では失礼します」
…』
小野「昔の郡さんと変わりありませんね。いつ聞いても怖いですね。貫禄がすごい。」
…
小野「問題は、このことをみなさんに話すべきかどうかですが…話さなくても大丈夫でしょうか」
小野「いや、これは私がケジメを付けるべきです。他人に頼ってはダメですね。」
file4 終
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