黒歴史放出ダダーン 〜叔母と叔父とトイレと私〜

ほしのしずく

第1話 黒歴史放出ダダーン

はじめまして、大阪在住の物書きのほしのしずくと申します。


早速ですが、黒歴史を放出させて頂きます。


ですが、これは私のではありません。


叔母のお話になります。


ただし、その場に居たので共感性羞恥心なるものを覚えたので、私の黒歴史と言っても問題ないでしょう。


では、聞いていってください。


あれは五年前の六月十九日、私が二十六歳の頃のお話。

この日は、母方の祖父の命日ということもあり、親戚で集まってお墓参りに行くのが、毎年の恒例行事となっている日。


主な参加メンバーは、私、弟、妹、母と母の姉夫婦の六人。


もちろん、五年前のその日も同じ面子でお墓参りに叔父が運転する車で向かっていた。


ちなみに祖父のお墓があるのは、兵庫県丹波市の方にあり、大阪から行くとなると片道一時間半は要する。

なので、毎回決まって、その途中にある西紀サービスエリアに止まり休憩してから向かうのだが、ここでその後、黒歴史となる事件が起きた。


私は、トイレに行くと言った叔母と叔父を手前にある陽気な音楽がなる自動販売機の前で待っていた。


それは、お土産を見てくると言った母や弟、妹とはぐれない為にだ。


スマホがあるので、そこまで気にすることはないのだが、この日はたまたまそういう気分になっていたので、私だけが外で待っていた。


(この変な音楽のする自動販売機で飲むコーヒー……美味しい……)


陽気な音楽のなる自動販売機で購入したコーヒーを片手に。

すると、トイレの方から叫び声が聞こえた。


「ぎゃあああ! し、しっ、信じられない!!」


聞き覚えのある元気で大きな高い声。


叔母の声だ。


だが、怒っている上に、少し怯えを感じる。


その異常な声色に何かあったのだと思い、慌ててトイレの方へと駆け寄っていった。


すると、そこにはもの凄い剣幕で見つめる叔母と困った顔をしている中年男性が向かい合っていたのだ。


叔母は、私の顔を見るなり、「き、聞いて! あの人が私の後ろについてきたの!」と話し始めた。


叔母の話によると、この目の前にいる男性が女子トイレに入ってきた上に、あとをつけてきたと言うのだ。


これが本当なら、間違いなく事件になるし、私もそういった輩は大嫌いなので、さっさと警察に引き渡そうとした。


「えーっと、警察に電話していいですか?」と私が男性に話し掛けると、彼は困った顔で首を傾げていた。

「い、いや! ちょっと待って! 意味がわからへんねんけど……」

「そういうのは、いいんです! 良くないことをしたんですから」

「そうよ! この人、私のトイレを覗こうとしたんだもの!」


叔母の大きな声が響く。


その声のせいで、「何かあったのか」「覗きですって」など、気が付けば野次馬だらけになっていた。


(やば、めっちゃ、人が集まってきた……でも、許せないものは許せないし……毅然とした態度で臨もう!)


観衆が集まってきたことで叔母も強気になり、私が何かを言わなくても、覗きを働こうとした中年男性に言葉を放った。


「……覗こうとしただけでも、立派な犯罪よ?」


うん、間違いない、叔母の言う通りだ。とその時の私は思っていた。


すると、その後ろの男性トイレから、叔父が現れた。

「ん、どした? なんかあったのか?」


叔母は、叔父の顔見るなり、泣きついていた。


「この人がね……って、あれ? なんでそこから出てくるの?」

「なんでって、こっちは男子トイレだから当然だろ?」

「……えっ?! じゃあ……私が……えっ!? 勘違い?!」


叔父の一言を聞いて戸惑い始める叔母。


そう、叔母は自分がトイレを間違えたというのに、普通に用を足そうとした中年男性を覗こうとした変質者として扱っていたのだ。



――この後。



叔母、叔父と私は、当事者の中年男性に平謝りをし、周囲の人にも謝り、その場で叔母を厳しく叱ったことで事なきを得た。


しかし、私はあの時の出来事から、トイレに行く際、誰よりもトイレのピクトグラムを気にしているのは間違いなく。


また、トイレの前で叔母を待つということもしなくなった。



―――――――――――――――――――――――



作者のほしのしずくです。読んで頂きありがとうございました!


なんというか叔母は、天然で猪突猛進な人でこういったことがよく起きています😂😂😂


その度に、恥ずかしいことが起きているような……普段はふわふわした人なんですけど……それも相まって勘違いネタばかりです😂😂😂


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黒歴史放出ダダーン 〜叔母と叔父とトイレと私〜 ほしのしずく @hosinosizuku0723

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