脚注

[1]. 毒を精製するには術者以外の人間を使用するため、術者に危険が及ぶことは少ない。要修正。

[2]. 蟲毒の如く共食いを繰り返す行程、淘汰されより強い毒が残る行程が儀式手順に含まれるため、この記述は誤りである。要修正。

[3]. 入室する前に生傷を沢山付けられた。

[4]. 空間に穢れを溜めることで毒性は強くなる。俺の時は垂れ流しを強要された。

[5]. 中身を繰りぬかれた人の頭だった。

[6]. 一か月出られなかった。

[7]. それは細かく刻まれた臓物だったと思う。

[8]. 今までに食ったどの肉とも違った。どうせ人肉だったんだろう。

[9]. これ以外に食べるものがなかった。仕方なかった。

[10]. 鏡じゃなく、ただのガラス窓だった。だからそこに見えていたのは、鏡像ではなく、別室の、同じ境遇の奴だった。そいつが俺を、ガラス越しに睨み返しながら、臓物を咀嚼していた。

[11]. 俺をこんな目に合わせているあいつらは、憎くてたまらなかった。きっと、それもあいつらの思う壺だった。

[12]. 傷から血が染み出して、水はどんどん赤く染まっていった。俺の血だけじゃなくて、吊るされた頭から垂れている血も混じっていた。

[13]. 休む時間なんて与えられなかった。

[14]. 仕方なかった。

[15]. 仕方なかったんだ。

[16]. あんなことして、吐かない奴なんていない。

[17]. コップにこぼれたそいつの血と、俺の吐いた毒が混ざった。

[18]. あいつらは、そうやって邪魔な奴を消して、今も悠々と暮らしている。

[19]. 何度もやろうとしたさ。

[20]. でも無理だった。

[21]. 信じられるか?刃物には、前回の残り物だろう毒が塗ってあった。

[22]. 死ぬか続けるか。俺は死ねなかった。

[23]. ああ、あの頭は監視用の呪物だったんだな。

[24]. 正しく終了したとしても、呪い返しは発生する。術者じゃなく、儀式に使われた毒物の媒体、つまり俺に。

[25]. しかし俺は生き残った。

[26]. きっと、今までの奴らは全員呪い返しで死んだんだろう。俺も死んだと思い込んでやがるんだろう。

[27]. だから俺は、あいつらに呪いを返しに行く。

[28]. 蟲毒のごとく、生き残った最後の一人として。死んでいった奴らの誰よりも強く鋭い、毒牙として。

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一人蠱毒 過言 @kana_gon

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