「従魔」でいいの?
「アイリス様〜!」
「あらカイル、どうしたの?」
ネリネ村村で過ごすようになって、1週間がたった。
今まで存在に気が付かなかった、治癒魔法などを使って住民達の仕事の手伝いをしまくったところ、ずいぶんと仲良くなることができた(気がする)。
今私に駆け寄ってきてくれたのはカイル。村一番のおてんばだが、とても優しい心を持っている。
「大変なの!さっき森に少しだけ入ってきたんだけどね、大きなワンちゃんが罠にかかって大怪我しているの!」
「まあ!今行くわ!」
カイルに言われた通り森に入って見ると、確かに罠にかかったワンちゃんが...
「ねえ、カイル。これワンちゃんじゃないわよね?」
「そうなの?」
「これ、フェンリルよ...」
この国でフェンリルといったら、神獣とも言われるくらい珍しい生き物だ。それ故に王族や貴族達がペットにしようと必死になって探している。今までに見つかったことなんてなかった。
なのになぜここに??
「とりあえず罠外すから、念のためカイルは離れていて。」
(何この罠!めちゃくちゃ硬いし重いんですけどっ)
この村の住民は生き物を大切にするし、フェンリルのような大事な神獣を捕まえようとする人間なんていない。一体誰が...
「お主、我が怖くないのか?」
「え?誰、、カイル?」
「我だ。お前の前にいるだろうが。」
「まさか...フェンリル?」
「そうだ。だが安心しろ。この声はお前以外に聞こえないし、お前を食うつもりはない。それよりお前、今精霊達の間で噂になっている女神様の子だろう?」
「ええ。そうよ。あと、まずお前って呼ばないで。私はアイリス。」
「そうか。アイリス、罠を外してくれてありがとう。友と鬼ごっことやらをしていたらうっかりかかってしまってな。」
「は?あなた本当に神獣?今までどうして捕まらなかったの。」
「数十年ほど昼寝していたからな。」
なぜか少しドヤるフェンリル。
「まあ、とりあえず我に名前をつけろ。」
「そうねえ、じゃあジニアとかどう?花言葉は「絆」「いつまでも変わらぬ心」「幸福」よ。」
「ジニア...良いな!!とりあえず、これで従魔契約成立だな!」
「今...何て?」
「今から我はアイリスの従魔だ。力を搾り取られ続け、絶縁までされたお前とずっと一緒にいてやろう。俺は強いから王子とやらからも守ってやるぞ。まあアイリスも十分強いけどな。」
「なっ、言い方考えなさいよ!でもフェンリルなら見た目も良いし強いし、いいかも。」
その時、後ろからガサッとカイルが近づいてきた。
「アイリス様...さっきから何を話しているのですか?」
「えと、その、あっ、今日からこの子は私の従魔になりました〜。」
(あら、私変なこと言ったかしら。)
カイルはポカンと口を開け、固まってしまった。
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