転機(国王視点)
「この馬鹿息子がっ!!!」
離れた国への遠征中に、まさかここまでのことをするとは。
アイリスがいなくなった今、魔物による被害が多発している。彼女がいた頃は、そんな被害全くなかったというのに。
「しかし父上。シャルロッテは聖女ですし、アイリスなんかよりも愛嬌がある。あいつなんかいなくても、シャルロッテがいれば大丈夫ですよ。」
「なんだと!?」
思わず実の息子を殴りそうになった時、ガチャと宰相が入ってきた。
「お取り込み中失礼致します。」
「なんだ?」
「ウィリアムズ家、ウォーカー家、サンチェス家、トーマス家、テイラー家、ウィルソン家、トーナー家、ベイカー家、ブラウン家など、その他大勢の貴族達がこの王国を出て独立国家を作るそうです。すでに全ての貴族が領民からの承諾を得ており、おそらく来月には独立するかと。
それから王国の平民達も続々と貴族達の独立国家への入国手続きを済ませていきます。」
「はあ??」
そんなに一度に出ていかれては、本当にこの国が滅びてしまう。だが法律上許可しないわけには行かない。
「わかった、」
こうなったのも全てロバートのせいだ。こいつのせいで...
そうか!王位をロバートに譲り、私と王妃は他国へ逃げよう。
「ロバート。さっきは怒鳴りつけてしまい、すまなかったな。お詫びというかなんというか...とにかく!お前に王位を譲ってやろう。」
「いいのですか!ありがとうございます!!!」
バカめ。だがバカで助かった。これで私は逃げられる。
「お、王様?そんなこと、、、」
「まあまあ。明後日儀式を行う。準備しておけ!」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
儀式は神殿で行われた。
この国ではかなり重要な儀式だというのに、ほとんど人は来なかった。
だが王子、いや新国王はそんなこと全く気にしていないようだった。王妃となるシャルロッテと微笑み会って、まるで幸せな日々が訪れるとでもいうような表情をしていた。
そんなわけないのにな。
宰相を含んだ何人かの者は王宮に残るそうだ。
忠誠心の強さを利用するようなことをして罪悪感を感じたので、多めに金を渡しておいた。
とりあえず、元国王である私と王妃はせっかく自由になれたのだ。これから楽しませてもらうとしよう。
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