残された王子(王子の視点)

 「おい、アイリス様が行ってしまったぞ!」

 「ああ、どうしましょう!国が滅びる!」


 貴族達が騒ぎ出した。

 

 「あの、ロバート様。大丈夫なのですか?」


 シャルロッテが不安そうな表情を浮かべる。


 「心配するな。お前に危険は及ばない。」


 彼女と出会った時、アイリス相手には感じたことのない感情を抱いた。そして瞬時に理解した。これは真実の愛なのだと。

 何がなんでも彼女と結ばれたい。王妃の座は、アイリスではなくシャルロッテにやりたい。

 それにはアイリスが邪魔だった。なので、お前のことが嫌いだと堂々と示せるよう、父上と母上がいない今日パーティーを開き、婚約破棄を言い渡した。そうすれば、少しでも悲しむ顔を見せるだろうとも思った。

 

 しかし、アイリスは1つも表情を変えなかった。

 それどころか、口答えまでした。

 後悔するのはこの俺だと?ようやく真実の愛を見つけ、幸せを掴む予定だというのに。


 アイリスがいなければ国が滅びるなんて、ただの迷信だろう。


 とにかく、これで邪魔者は消えた。

 俺は絶対に幸せになってやる。


 

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