第1章

エランティス王国

 アメリアが生まれる数年前、この国は隣国、オルタンシア帝国と戦争を続けていた。

 戦場となった土地は枯れ、資源、食料は不足した。

 両国は共に、限界を迎えていた。


 ある日、エランティス王国の王と、オルタンシア帝国の王は全く同じ夢を見た。

 その夢には1人の美しい女性が現れ、こう言ったそうだ。


 「そなた達の争いは、たくさんの命を奪いました。もう取り返しのつかないことになっています。通常ならば、両国ともにこれ以上犠牲を出さぬよう私がこの手で滅ぼしていたでしょう。

 しかし、こちらの事情で今はそれが出来ません。なので、どちらかの国に自力で復活する力を、そしてもう一方の国に私の子供を授けましょう。その子の名前はアイリスとします。

 それでは、これ以上罪のない命が奪われないことを願います。」


 その後、戦争は終わり平和な世界になった。


 オルタンシア帝国はみるみるうちに復興して行き、豊富な資源や食料、活気が戻った。


 そしてエランティス王国は、アイリスが生まれた瞬間から緑が芽生え、豊かになった。


 そう、この国はアイリスがいなければ成り立たないのだ。

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