第17話ダニエル(兄)side
前回の反省を踏まえて慎重に相手を選んだ。選んだのは侯爵家の長男。
家柄、財力、容姿、性格。
どれをとっても我が家に引けをとらない。
侯爵家の長男の性格も穏やかで優しく、シャーロットを大事に扱ってくれた。
今度こそ幸せになれると期待していたというのに……。
まさかの婚約破棄。
理由は浮気だ。
相手の女は幼馴染の令嬢。
兄妹のような間柄とか言いながら裏で裏切っていたのだ。
当然、直ぐに婚約を破棄した。
相手から相応の慰謝料を頂いたが、それで許すつもりはない。
シャーロットと婚約していながらあのような女と関係を持ったんだ。最後まで関係を持っていくべきだろう。
二人を結婚させた。
侯爵夫人は泣き喚いていたが、そんなものは知ったことか。
責任はしっかり取って貰う。
侯爵は約束通り、二人を結婚させた。
ああ、当然だが、長男は廃嫡だ。侯爵領で一平民として暮らしている。次期侯爵夫人だと風潮していた幼馴染の女と共にな。
侯爵家は次男が継ぐことになった。
多少財産は減ったが、領地経営に支障が出るほどではない。
まあ、よほど上手くやらない限り、数年で破綻するだろうが、それは私達には関係ない話だ。
次男はそこそこ優秀だと聞く。
上手く領地運営していくだろう。侯爵夫人の支出を削ればの話ではあるが。
二度の婚約破棄。
全て相手有責での破棄だ。
シャーロットに一切の責めはない筈だ。
だが流石に二度も婚約がダメになると邪推するのが人だ。
特に社交界は噂が好きだ。
あることないこと、尾鰭を付けて話が広がっていく。
矛先は全てシャーロットに向かう。
なにしろ、元婚約者たちは廃嫡され王都にいない。社交界に今後もでてくることはない。唯一、残っているのが妹だ。
やがて、シャーロットは至る所で好奇の視線に晒されるようになっていた。
シャーロットが側妃になった背景には、こういった諸々の事情が折り重なった結果といえた。
なのに……どうしてだ!?
王命で下賜だと!?
ふざけている!!
しかも何故、伯爵家の次男坊なんだ!?
オウエン・ローマン。
奴は国王の側近。
護衛騎士でもある。
出世は見込めるだろうが、爵位がない。
ローマン伯爵家は他に爵位を持っていないのでそれは仕方がない。
だが、だからといって、なぜ、奴なのだ!?
王命での婚姻。
ありえない。
あまりにもあり得ない! これは何かの間違いではないのか? そう何度思ったことか。
陛下に直接問い質したかったが、それも叶わない。
何とかならないかと王宮に赴き、直接宰相に相談したが、既に決定事項だという。
覆る事はないという。
ふざけるなよ!!
昨日の今日で実家に歩いて帰ってきたシャーロット。
どうやら
次男の嫁とはいえ、元妃。その前に侯爵家の令嬢に、だ。
いい度胸をしている。
シャーロットは世話になった連中をまとめて内容証明を送った。証拠も十分揃っている。
目にもの見せてやるぞ!!
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