第20話 追い打ちを掛けに行く元英雄



「弱い電撃を当てるだけでさまざまなことに使えるとは便利なものだ。魔道具ではせいぜい機能は一つだ」


「逆を言えば電気が確保できなければ何一つできなくなるからな。助かるよ」


 スマホのことを話すとホムラが魔道具を雷魔法で充電した経験があると言うことで、試しに充電してもらうと成功した。

 前回の配信でかなりスマホのバッテリーを使ってしまいやばかったのだ。

 最悪ダンジョンの外に出て、最寄りの空港の充電スポットか盗電でなんとかしようかと思っていたので助かった。


「さて外の状況を確認するか」


 前の配信でどういった反響が起こっているかネットニュースとSNSを見て確認する。

 見たところ結構話題になっているようで、トレンド一位でピックアップされている。


「周りの反応は上々だな」


 しばらくは英雄に関して持ちきりになりそうだ。


「これなら何か反応を見せるかな」


 疑惑の掛かっている輝利哉のアカウントを確認すると、リンク付きのメッセージが投稿されているのが見えた。


「これは酷いな」


 少しダンジョンのことがわかっているものなら、わかるような捏造動画だった。

 A級ダンジョンのボスとして紹介しているボスはB級ダンジョンのボスな上、輝利哉がガタイのいい別人に置き換わっており、身バレを避けるためなのか、配信中も一言も喋っていなかった。

 案の定コメント欄は捏造を指摘する声と輝利哉が英雄であることを疑う声がいくつも上がり、炎上騒ぎになっている。


「ここが畳み掛けるタイミングみたいだな。ダメ押しにA級ダンジョンをもう一つ攻略して10年前の真実について告白するか」


「A級ダンジョン--危険なモンスターがいるダンジョンか。心あたりのある場所に行くとなると隔て道を通ることになるな」


「隔て道?」


「このモンスターがいる空間と魔人の居住空間の間にある道だ。その中程に滅多に使われることのない転移陣がいくつもある空間がある」


 ダンジョンに魔人専用の居住空間があるとは驚きだ。

 12年前はモンスターと共にダンジョン内を徘徊していたので、モンスターがいる場所が魔人の居住空間だと思っていた。


「道ってことは魔人が多少なりとも通ると思うんだが大丈夫か」


「ああ、私は姿を消す魔法も習得しているからな。よほどの魔法使いでなければまず見破ることはできない」


「じゃあそれで決定するか。……まだこいつの処遇を決めてなかったがどうする?」


 目下の方針は決まったので、残りの問題--クロガネの処遇について切り出す。


「隠蔽して放っておくのが良いだろう。こいつは兵士だから下手に殺すと軍に知らせが飛ぶ」


「死と同時に仲間に伝わるシステムになっているのか。できれば危険の排除のために殺したほうが良かったがそれならしょうがないな。じゃあ早速で悪いが隔て道に案内してもらえるか」


「ああ、任せろ」


ーーー


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