第7話 人気配信者を助ける元英雄


「まずい。転移罠ばっかりだここ」


 ・新エリアかここ

 ・落とし穴七回落ちるとこんなところあるのか

 ・配信者としてはこれは美味しいでしょ

 ・ここの転移罠は基本ダンジョン内か、他のD級にしか繋がってないから遠慮せず行っちゃえばおk

 

 女子高生大人気ダンジョン配信者カナポンこと舞霧要はD級ダンジョン『トラップハウス』に来て、身動きがとれなくなっていた。

 今要がいる場所から一歩でも動けば、転移罠に引っかかってしまうのだ。


「じゃあ、ここは左に一歩」


 体に接しているものしか共に転移できないので、配信を撮影しているドローン触れると左にある転移陣に足を踏み出す。


「あっ」


「グオオおおおお!」


 転移し一瞬で景色が切り替わると目の前に要の背丈の三倍はあるのではないかと思うような、大きな角と翼を持つ黒い獅子──キメライオンが現れた。

 ダンジョンが確認しているモンスターの中で討伐難易度S級──最上とされているモンスターだ。

 見た瞬間に相手を生粋の捕食者、自分をそれに食べられる被捕食者として認識してしまい恐怖で足が動かなくなる。


 ・ここ、二、三年前に前放送事故起こした覇者の塔じゃね

 ・あ、やばい始まりの祠から転移罠にひかかったバンピーがミンチされたとこじゃん

 ・逃げろ逃げろ逃げろ

 ・モンスターから特定しました覇者の塔の深層です

 ・放送事故確定キタコレ


 キメライオンが要をかぶりつこうと近づくと、突如巨大が浮かび上がった。


「グルああああああ!!」


「ダンジョン配信者か。よくこんなとこまで配信しに来るな」


 地面に着地した少年がそう一人ごちると、彼がキメライオンを殴り飛ばしたことに気づいた。


 ・今のなんぞ

 ・キメライオン、ゾウよりでかいんだけど拳で吹っ飛ばすとか、いやおかしいでしょ

 ・2トンパンチってこと

 ・カナポン助かった!

 ・この高校生何もん?


 事実を認識すると要もそのリスナーも目の前の少年──安藤蓮に目を奪われ、彼の行動を注視し始めた。



──ー


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