第十二話 人探し

「がはっ…」


やっぱり血陣は負担が大きいな。また血はいてしまった。でも、これでも中和できてる方か。


「藤村君、大丈夫?」


俺は藤村君のほうに駆け寄った。


「あ、うん。大丈夫です」


たどたどしく藤村君は言った。たしかに怪我を全くしていない。


「やっぱり、強いんだね」


「まぁ、それなりには…」


「でも、無理に一人で行かないでくれ。普通に心配だから」


「すいません…」


「あ、いや、別に怒ってるわけではないから…」


うん、こいつとの一対一の会話、めっちゃ気まずい!


「おい、ここに用がないんだったらさっさと戻るぞ」


遠くから店長が扉を開けっぱなしにして声をかけてきた。


「じゃあ、戻ろうか」


「はい」


それにしてもあいつの能力、癖すごかったな。戦闘向けとはとても思えない感じだが、それを感じさせないほどの実力を持っていた。それにしてもなんで警察出動しなかったんだろう?多分あいつが誘拐…


「あ‼」


俺はつい大きな声で言ってしまった。


「どうしました?」


「行方不明者どこいるこれ?」


「あ」


お互い、すっかり忘れてた。


「店長、俺たちまだやることあるから、先帰ってていいですよ!」


「え?でもそれじゃお前たちどうやって帰るんだ⁉」


「ぼく、帰り道わかる…」


「藤村君が帰り道わかるそうです!」


「分かった!気をつけろよ!」


そうして店長は扉をくぐり、閉めた。


「で、場所に心当たりったあったりする?」


「あ、はい。二か所ほど…」


「…あのさ、できたらでいいんだけど…」


「はい?」


「敬語、やめてくんね?一応俺、後輩だし」


敬語つかわれてるの慣れてないし…」


「あ、うん。わかりました」


うん、混じってる。


「調べたときに、資料室と倉庫室だけデータが極端に少なかった」


「じゃあ、俺は資料室行くから、藤村君は倉庫室頼める?」


「いいけど、僕からも一つお願いいいですか?」


「いいけど、何?」


「藤村君って、やめてくれませんか?」


「あ、わかった。じゃあ…藤村で」


「ありがとう。じゃあ、倉庫室行ってくる」


「ああ、がんばれよ」


そう言いながら俺は資料室に行った。


資料室にはの机の上に六台のノートパソコンと、大量の資料が山積みになっていた。資料に関しては多すぎてたくさんの枚数が床に落ちてしまってるが。


「さてと、こういうのは資料になんか大事なことが書いてあるんだよな。読んでみるか」


・・・


ブラスター 起動


ピュンピュン


俺は、扉の方向にスターダストを撃った。


「気配隠すのはなかなかうまいようだが、相手が悪かったな」


すると、扉の方から一人の男が出てきた。


「悠里を倒したからそれなりに強い奴だろうと思ってたけど、想像以上だな」


背は高く、スタイルがいい。モデルと言われても違和感がない。

俺は抜刀した。


「こんな大きい施設で強キャラが一人だけだから違和感はあったが、さっきのやつより強そうなのは予想外だ」









ガラガラガラ


ぼくは、倉庫室の扉を開けた。


ブラスター 起動


「誰だ⁉」


気配を感じる、誰かいる。誰だ?


「あれ?バレちゃった」


奥の方から一人の女性が出てきた。高校生くらいだろうか。学生服を着ている。あの制服は、たしか黒山高校のだっけな?


「確か、常盤だっけ?」


「私の名前知ってんだ。あってるよ。でも、まだ子供なのにかわいそう。殺したくないな」


「なに勝てる前提でいるんだよ」


消音隠密サイレントハイド


ぼくは能力を発動して、スターダストを撃った。

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