第十一話 衝撃消去

「えーと、多分この辺のはずだけど…あった」


ぼくは一つの扉を見つけた。黒幕いるならここだろうなと思っていたところのだ。

扉を開けようとドアノブに手をかけようとしたその瞬間


カチャッ


勝手に扉があいた。


ブラスター 起動


扉が完全に開ききる前に僕は構えた。そして、ゆっくりと中に入った。中は薄暗く、広く、何もない。なんの用途があるのか全く分からない。


「やあ、よく来たね」


声がした。僕は、音のした方向にスターダストを撃った。


「まったく、いきなり発砲とは物騒だね」


「・・・」


「おや、なんか言ったらどうだね」


「ここ数年の誘拐の黒幕はお前だな」


「お、正解。よくわかったね」


奴は言った。どこかこの状況を楽しんでるような明るい声だ。気味が悪い。


「悠里引汰、26歳」


「驚いた。まさかそこまでわかるとは」


「悪いけど、僕は人と話すのが苦手だし、お前と話したくない」


消音隠密サイレントハイド


ぼくはこの部屋から音の概念を消して、発砲した。それは、うっすらと見えるやつに

めがけてまっすぐ飛んで行った。


「その程度か」


え?音が、した?


一点集中ワンポイント


ぼくが奴にめがけて撃った弾は不自然なまでに曲がったところに着弾した。でもおかしい。着弾音はしなかった。何故だ?


ブレード 起動


俺はスターダストを剣にして斬りかかった。


「ここまで来たから少しは期待したんだけどな…」


いきなり僕の進行方向が横に曲がった。何かに押された。いや、引っ張られた?


ドンッ


そのまま地面に勢いよく落ちてしまった。


「なるほど、一点に対象物を集合させるのか」


「ご名答。ま、それが分かったところで君にはどうしようもないけどね」


ブラスター 起動


僕はまた発砲した。


「しゃべるの苦手なんでしょ?じゃあ、もう終わりにしよう」


一点集中ワンポイント


いきなり僕の方向に弾が飛んできた。僕に集合するようにしたか。


ブレード 起動


ぼくは受けの構えをした。




「させるかよ!」


血液暴走


俺は全速力で藤村君の前に行き弾をすべて斬った。


「水谷さん?なんでここが…」


「私が連れてきた」


少し渋めの声がした。藤村さんはその方向を見た。


「よぉ、大丈夫か?」


「店長?」


例の支部の中華料理屋の店長だ。


そうか!


たしか店長の能力、【鎹】は対象の人物とゆかりのものがあったらそれを使ってその人のいる場所まで行ける扉を作れる能力。支部には僕の筆記用具が置いてある。それを使ったのか。


「藤村君、多分入りたての俺を危険な目に合わせないように一人で行ったんだよね?心配してくれてありがとう。でも、大丈夫。俺、けっこう強いから」


「一人増えたところで、何も変わらんぞ」


「それはどうかな?」


ゲヘナブースト


一点集中ワンポイント


奴が能力を発動した瞬間、ゲヘナブーストの軌道が曲がってしまった。


「奴の能力は対象のものを一点に集める能力。それで近づくこともできないし、飛び道具も使えない」


藤村君が遠くから叫んで教えてくれた。なるほど。じゃあ…


テラブレイク


俺は地面を思いっきり殴った。その衝撃は周りに広がっていった。

テラブレイクは地面を殴り周りに衝撃波を飛ばす技。前世だと囲まれたときなんかに使っていたが…


「どんな攻撃をしても同じだ!」


一点集中ワンポイント


奴が能力を使ったその時


血陣・ゲヘナブースト


血陣で威力を増したゲヘナブーストで一気に奴に近づいた。


グサッ


刃は奴の首に食い込んだ。


ドーン


今回のやつの能力は俺を中心としている。テラブレイクの衝撃は全部俺に行く。


「グッ」


「やめろ、そんなことをしたらお前もただでは済まないぞ!」


「それはどうかな?」


「なに?」


消音隠密サイレントハイド


藤村君の能力が発動した。すると、テラブレイクの衝撃はなくなった。


「なっ、どういうことだ?」


「テラブレイクは衝撃波でダメージを与える。あんたが能力で上空に上げてしまえば空気の振動。音と原理はほぼ一緒だ。藤村君の能力なら消せる」


「クソッ、あの衝撃をダミーとして使ったのか…」


「ああ、ただ今思えば、なくてもよかったかもな。お前ごとき相手なら。じゃあ、終わりだ」


ザシュ


俺はそのまま奴の首を切り落とした。

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