第十話 消音隠密

探してくるわとか言いながら勢いよく飛び出ていたものはいいものの、何をすればいいんだ?


前世でこんなことやってないしな。困ったな…

とりあえず、行方不明になった人の家族のもとでも尋ねるか?いやでも俺警察でもないし、多分だめだな。


あれ?やることなくね?


でもな、このまま収穫なしで帰るのもな…

家の近くまではいくか。


そうして俺は行方不明者の一人の家の近くまで来た。一軒家で、外から見た感じ二階建てだろうか。そこそこの大きさの立派な家だ。


でも、来たところですることないな…次いこ。


二件目はアパートだ。木造で、塗装はほとんど剥げており、ボロボロの表面。俺が能力つかってそこそこの力で押したらすぐに崩れそうなボロ屋敷だ。住んでた行方不明者、金なかったんだろうな…よし、次だ。


そうして全部の家のところまで行ったが、情報はゼロだった。

しゃーない。手ぶらで帰ろう。


そうして俺は支部のある中華料理屋に戻った。


「ただいま~、すまん情報全くなかった…」


俺がそういいながら中に入ると、そこには誰もいなかった。


「は?え?どゆこと?ちょ、店長~」


「なんだ?」


俺は店長に聞いた。


「藤村君どこにいるかわかりませんか?」


「藤村?ああ、あの子供か。あいつならお前が出てすぐにどっか行ったぞ」


「まじかよあいつ…」


俺は急いで店を飛び出そうとした。


「まて、どこにいるのかわかるのか?」


「いえ、わかりません」


くそっ、どうすれば…


「しょうがない。俺が力貸してやるよ」






爽が一件目の家に着いた頃。


「ここだな。今回の黒幕のいる場所は」


調べれば秒で出てきたよ文字道理、秒で。

水谷さんに調べといてといわれてから、水谷さんが出ていくまでの間に特定できた。僕、けっこうコンピューター得意だし。

でも、だからこそわかる。素人にはこれは危険すぎる。年上とはいえ水谷さんはこの世界は素人だ。ここは僕一人で何とかする。


消音隠密サイレントハイド


ぼくは自身の能力で自身の足音を完全に消し、扉を開けた。当然扉を開けるときの音も消した。


人は思っているより、耳からの情報に頼っている。気配を感じることがうまい人は、足音や、呼吸音、心拍音などのわずかになる音を聞き逃さない人だ。でも、僕の能力はそんな音を完全になくす。目の前を歩いたりしない限りはバレたりしない。現に今、警備の人の横を素通りしても全く気付かれない。


個々の建物の間取りは来るまでの間に調べといた。こっちに行けば今回の黒幕がいるはず…


その時


ウィンウィンウィン


警報が鳴った。多分、何かセンサーにでも引っかかったんだろう。あくまで僕の能力は、音を消すだけだからな。


「いたぞ。侵入者だ」


ぼくの上下から人がやってきた。ざっと数えて四十人ほどだろうか。よくこんなに集まったな。でも、ここで下がるわけにはいかないしな。


ブラスター 起動


「死にたくない人は今すぐ逃げて。三秒だけ待ってあげる」


1…


「あ?なめてるんじゃねぇ!」


2…


「行くぞお前ら!」


奴らは一斉にこっちに襲ってきた。


3…


「じゃあ、行くよ」


ぼくはそのまま素早く、高く飛び上がった。この建物の天井がそれなりに高いことも前もって調べといた。こういうのは、刀が振りかぶれないように天井低くしとくもんなんだけどな。


消音隠密サイレントハイド


ぼくは能力を発動してスターダストを乱射した。発砲音なんて当然しない。僕が消したから。


「おい!大丈夫か?」


「くそあのガキ、どこ行きやがった」


「見つけ次第殺せ!」


まぁ、こんなこと言いたいんだろうな。僕にも、仲間にもそれは聞こえない。何なら自分にも聞こえない。そろそろ僕の能力にも気づいてきたころかな?じゃあ、そろそろあれやるか。


ぼくは相手の一人にだけ、能力を解いた。


「まじでどこにいるんだ!」


バーンバーン


男がしゃべった瞬間、男は仲間に撃たれた。無音が続いた状態で急に音が鳴ったら思わず撃っちゃうよね。僕の能力に気づいていたら僕がいるかもと思っちゃうかもしれないし。

そして、さっきも言った通り、人は耳にけっこう頼ってる。僕がどこにいるのか、気が付くことはない。もし気付いたとしても、それを周りに知らせるすべはない。言ってしまえば一方的な戦いだ。


じゃあ、めんどくさいしさっさと終わらせるか。


ブレード 起動


ザシュザシュザシュ


ぼくは相手の端から端まで、一直線に斬った。


これでおしまいだな。さて、さっさと次行くか。


そうして僕は黒幕のところまで行った。

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