第八話 代償

「白星さん、大丈夫?」


俺は痛いのを我慢して白星さんのところまで行った。


「あ、う・ん。なあんとか…」


ん?なんかおかしくね?


「なんか、声とかイントネーションとかおかしいけど…」


「いやあ、大丈夫だ…よ…」


ばたん


白星さんはそのまま倒れてしまった。


「え?これほんとにまずい奴じゃ…大丈夫?」


俺が白星さんに触れた瞬間


じゅぅぅぅぅぅぅ


「熱ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅなんじゃこりゃぁぁぁぁぁぁぁぁ」


熱した金属と言われても不思議ではないくらいの熱さだった。ちゃんと右手火傷したよ。火傷はキランリバイブで治せないんだけど…いやそれよりも


「これどうすればいいんだ?」


白星さん、なんでこんな熱くなってんだ?


キランリバイブ


うん、知ってはいたけど意味ないな。

けどこれどうする?

もう一度触ってみる。


じゅぅぅぅぅぅぅぅ


マージで熱い

それを我慢して俺は白星さんの脈を図った。

動いてる。いつもどんくらいの早さなのかわからないが早くも遅くもないと思う。


しょうがない、少し待つか…

公園まで運んでベンチの上に置いとくことも考えたがこんなに熱いのを公園まで運べるほど俺は耐熱性がない。




約一時間後




「zzzzzzzzzzz」


「水谷さん?起きて」


俺は誰かに呼ばれて目を覚ました。目の前には白星さんがいた。


「あれ?俺、寝ちゃってた?」


「うん、寝てたよ」


「あ、そうか。ごめん」


「いや、私が先に寝ちゃったし、私の方こそごめん」


「そういえば、急に倒れちゃったけど、どうしたの?」


「ああ、それは、多分能力の代償だと思う」


「え?白星さんのも代償必要なやつなの?」


説明だけ聞いたら全然そんなことなかったから少し意外だった。


「うん。正確にはシステム・ゼロにではなくて、ゼロ・サンクチュアリにだけどね」


「それが睡魔が襲ってくるという代償付きと」


「うん。そうだね」


「じゃあ、あの熱さはどこから?」


「それなんだけど、それだけ私にもわからなくて…」


「そうか…」


睡魔よりもそっちの方が問題だと思うけどな


「とりあえず、今日はもう解散ってことでいいから」


「わかった。じゃあ、明日学校で」


そうして俺は家に帰った。


俺はまっすぐ家まで帰った。


「ただいま~」


しかし、返事がない。

不思議に思って俺は時計を見た。

午前一時。そりゃ寝てるわ。


「前世でもこんぐらいに帰ってたな…」


ズキズキ…


まだ弾丸がぶち込まれたところが痛む。弾丸はあの後肉ごとえぐり取ったけど、その分激痛が走ってる。


「前世と変わらんな…」


前世はキランリバイブなんてなかったから血液暴走の代償も受けたダメージも自然回復待ちだった。その時と比べれば少しはマシだけど。


それにしても最近キランリバイブに頼りすぎて攻撃食らうことに危機感がなくなってきている。今回みたいに実弾ぶち込まれたりしたらキランリバイブでもどうしようもないしな。


「少しは自分の体、大切にするか…」


そうして俺は眠りについた。




次の日





「はい、というわけでこの公式を使うことによってここはこうなって…」


zzzzzz


「…おーい、水谷~?」


zzzz


「起きろー」


はっ


俺は先生に起こされて飛び起きた。


「珍しいなお前が授業中に寝るなんて」


「はい、すいません」


カーンコーンキーンコーン


「はいというわけで今日の授業はここまでだ。各々挨拶なくていいから休み時間に入っていいぞ」


そうして休み時間に入った。


はあ、やっぱ前世の夜更かし体制がなくなってる。早く感が戻るといいけど、あれが体のつくり的な問題だったらどうしようもないんだよな…


「水谷さん、大丈夫?」


後ろから誰かが話しかけてきた。振り返るとそこには白星さんがいた。


「ああ、なんとか。白星さんは眠くないのか?」


「うん。最初は眠かったけど、もう慣れた」


ああ、やっぱり慣れか…


「水谷さんもそのうち慣れると思うから、がんばってね」


「あいよ」

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