第七話 システム・ゼロ

夜九時ごろ


俺と白星さんはある公園の隅にいた。


「ここに魔王の手下があらわれるのか?」


「うん。おそらく…」


こういう隠密行動は夜に行うのは前世からのお約束的なところがあるから驚かなかったし、隠密するって言われた時からどうせ夜だろうなとは思っていた。でも…


「ふわぁぁぁぁぁぁぁぁ」


大あくびをかましてしまった。眠すぎんのよ。前世ではオールとか当たり前だったし大丈夫だったんだけど、やっぱり平和ボケしてるわ…


「大丈夫?」


「ふぁあ、問題ない」


そんなことを話しながら待ってると…


「あ、来たよ」


白星さんが小さな声で言った。


公園の真ん中あたりで若い茶髪の男性がいる。おそらく二十代前半だろう。


「行くよ」


男が公園から出ていこうとするのを二人でこっそり追いかけた。


昼に能力が隠密行動向けではねぇとか話してて割にはばれずに尾行ができている。


そうして男はとある一軒家の前で足を止めて、そのまま入っていった。


「ここが奴らのアジトか…」


なんか、思ったより普通の家だな…


「そうだね。じゃあ、バレないうちに帰ろうか」


そう言って白星さんが歩き出したとき


建物の陰から誰かがのぞいているのが見えた。暗くてよく見えないが、何かを持っている。なんだろう…構えてる…まさか、拳銃⁉よく見ると銃口は白星さんの方を向いていた。


バーン!


発砲音が鳴り響いた。


血液暴走


俺は能力を使い、急いで白星さんを押した。


「きゃっ」


白星さんはそのまま倒れた。そして、弾丸は白星さんには弾丸は当たらなかった。


「え?どうしたの?」


「残念だけど隠密失敗みたいだ。おい、隠れてないで出てこい!」


俺は弾丸の飛んできた方向に大声で言った。


「ああ、やれなかったか…流石になめすぎたかな?」


そう言いながら男は出てきた。その男は不思議なことに、さっきまで追っていた男だった。いや、不思議ではないか。


「なるほど、ざっとテレポートか透明化、高速移動のどれかだろうな」


「それなら、二人もいるし勝てる」


すぐに能力をある程度暴くことができた。それに対して相手は白星さんの能力と、俺のキランリバイブはわからない。このアドバンテージは結構大きいぞ。


「そうかもうそこまでわかったか。でも、そんなのぼくには関係ない!」


すると、また奴は目の前から消えた。でも、今度は襲ってくることを知っている。気配を読め…


「…そこだ!」


俺は気配のする方を思いっきり斬った。


「っく…」


どうやら当たったようだ。奴は姿を現し、斬られたと思われる左腕をおさえている。


気配は見えない時も移動していた。だからワープ系ではない。高速移動にしては気配の動きが遅かったからこれも違う。なら


「透明化確定か…」


「さすがにここまでくるとわかるか…」


「当たり前だ。馬鹿じゃあるまいし」


「ごめん私わからなかった」


「あ、ごめん」


前世含めると二倍生きてる時間が長いんだ。そりゃわからんか…


「でも、その程度か。筋はいいんだけどね。少し残念だよ」


「は?どういうことだ?」


「どういうことって、簡単な話だよ。君たちは僕には勝てない」


ステルスハイド


奴はまた消えた。でも、また気配を読めば…


バーン!


いきなり、俺の背中に激痛が走った。

撃たれた。 その事実はすぐに分かった。俺はそのまま倒れてしまった。


気配が読めなかった?さっきのは本気ではなかったのか。


「水谷さん。大丈夫⁉」


「ああ、急所は外れてる。けど、くそいてぇ…」


キランリバイブは傷を治すことはできるが痛みは直せない。さらに今回は弾丸が俺の体を貫通してないから治してしまうと体内に残ってしまう。

こりゃやばいな…


「あと一人か。僕もあまりだらだらとやりたくないし、さっさと終わらせよう」


ステルスハイド


「水谷さんは休んでて。私一人で何とかする」


「え?でも…」


「雑魚にやられてるところしか見たことないんだけどとか思ってるんでしょ」


あ、バレた


「あの時は刀がもろかったからね。でも、スターダストこれなら」


ブレード 起動


システム・ゼロ


「透明化も結局のところ能力、ならいける」


ゼロ・サンクチュアリ


すると、あたりを水色の半透明のフィールドが被った。


「なんだこれは?」


奴は驚いたように言った。いや待て、なんで奴が見える?

そうか、このフィールド内は能力の効果がゼロになるのか。


キランリバイブ


やっぱり、回復できない。強力ではあるが集団戦には向かないな。


出来はするけど


ブラスター 起動


ピュンピュン


俺はスターダストを銃にして発砲した。放たれた蛍光緑の弾はこちらを一切警戒していない奴に飛んでいく。


「ぐはっ」


ヒットした。後は…


「ありがとう。水谷さん」


ゼロ・ブレイク


奴がひるんだ隙に白星さんは大きくスターダストを振りかぶり、勢いよく切りつけたすると


バリーン!


奴に当たった瞬間、何かが割れる音がした。スターダストが切っているであろうか所の空間が割れている。

これ、相当強い奴だな。ひび割れのエフェクトは前世のゲームとかアニメでも最強格だったことが多い。


ひび割れが終わった時には、奴は倒れて気を失っていた。

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